未来を語りつづけて−原爆体験と教育の原点

広島県教職員組合・広島県原爆被爆教師の会(編)
労働旬報社、1969年8月6日

はじめに

教育の魂(宗像誠也)/日本人の心から「ひろしま」を消してはならない(服部学)/初心に立ちかえって原爆教育を(宮之原貞光)

序章 被爆教師の名において告発する(石田明)

1悪魔の爪跡深く−原爆は被爆者だけで満足できないのか/2かくれキリシタンを超えて−「被爆教師の会」結成/3原爆教育の心/4誓い−人間の名において、教師の名において

第一部 原爆体験と教育の原点

第一章 それでも未来を語りつづける

被爆二世のわが子を失なって(名越謙蔵)

”歴史を創る樹とならん”と命名した史樹君の死を超えて

子どもらに支えられて−生きる厳しさと人間の尊厳を確認しあって(中谷玉江)

通信簿につられて−焼れた日/ピカでこわれて鏡はないのよ/原爆の恐ろしさを知りました−がんばって1…子どもらの声で手術/秘密の約束/手をいっぱいにひろげる子どもたち/許せぬ”たこ足”式の保護政策/生きることの厳しさを、人間の尊さをつかみとる子どもたち

ある被爆教師の死(村木誠)

付.”原爆の子”からの手記

石は川底からみていた(増田勉)

付.”夏の日”げんばくのうた/幻燈と詩/広島市立観音中学校美術部

原罪への問いかけ(高松由子)

戦没学徒の叙勲の決定/八月六日前後−その当時の日記から/私の体験と教育への問い

先生同情されない人間になって下さい(森下弘)

かくされた鏡/虚脱の日々/心のつながり

第二章 爪跡をこえて

子どもたちに語る私の体験(米田進)

ふた昔を生き抜いて(尾形静子)

運命の日−一八歳で終わった青春(泥と血とウジと/生きているのがすまない)/教壇に立って−批判力のある子どもを育てたい

子どもらの遺骨をひろって(石富広江)

声蘇る/教え子を送らぬ合言葉にかえるために

”平和の鏡”をついて(岩田守雄)

平和が根底からくずされた日/平和の鐘を打ちながら−

甲状線ガン(吉本フサエ)

少年の日の被爆とABCCと(橋本行宏)

被爆/不安と怒り−初めての検診/不安−私と家族/過ちをくりかえさない主体として

第二部原爆教育・平和教育の実践のために

原爆と子どもたち−「原子爆弾被害に関する調査」のまとめ・問題点(川島孝郎)

1風化する原爆問題/2原爆についてどれくらい知っているか/3子どもたちはどのようにして原爆を知ったか/4原爆はカッコイイか−原爆投下時の感想調査/5原爆投下の意味を知っているか/6真実を求めている子どもたち

広島をどう教えてきたか−学生時代の被爆教師として(田坂積)

1二四年間の体験をとおして/2正しい歴史認識をもたせるために/3歴史認識と教科書の内容/4教育実践の記録

原爆不在の教育・教科書の実態とその批判(空辰男)

(1)テストあって教育なし−原爆は戦争だから落ちたのか

〈資料1〉原爆は戦争だから落ちたのか−子のテストを見た父親の手記/〈資料2〉昭和四二年度版「しゃかいかがくしゅうのてびき」/〈資料3〉ワーク・ブック「しゃかいかがくしゅうのてびき」/〈資料4〉副読本「わたしたちの広島市」

(2)戦後社会科教科書のうつりかわり−「体検型」から「年表型へ」

〈資料5〉家永訴訟声明/〈資料6〉戦後教育問題年表/〈資料7〉「日本の歴史」(下)/〈資料8〉「くにのあゆみ」/〈資料9〉「日本のあゆみ」/〈資料10〉「民主主義と明るい生活」/〈資料11〉副読本「きょうど・ひろしま」/〈資料12〉新旧教科書比校表/〈資料13〉「日本の歩みと世界」/〈資料14〉昭和四四年度中学校社会科教科書における原爆投下及び原水爆禁止を中心にした平和教育の記述状況の一覧表

(3)「体験」から「科学」への欠如

〈資料15〉「私たちの科学研究」/〈資料16〉「中学理科」3年/〈資料17〉「原爆記念日」の取扱いについて/〈資料18〉広島への原爆投下は昭和何年何月何日何時何分ですか、ある「中学校での実態調査」の一例(4)

東ドイツでの教科書の事例

〈資料19〉東ドイツ 第七学年の「地理」教科書/〈資料20〉東ドイ ツ第八学年の「国語」読本/〈質料21〉東ドイツ 第一○学年用「歴史」数科書

ヒロシマを高校生にどう教えるか(森下弘)

1高校生は原爆についてどう考えているか−意識調査から

2高校生の原爆意識調査(続)

3若い人は何をしたらよいか−主体的活動のうながし

実態を知る/主体性と主体的理論をもつ

4原爆教育について

5映画「ひろしま」の上映と生徒の感想−生徒の作文集

今までにない強い感動−みんなにみせたい/積極的に何かをしなければならない/ひどくて凝視できなかった/私たちはどうしようもない/そっとしてほしい/強制されても見てよかった/その他

6「高校教科書のなかの原水爆等の記述」と調査・その問題点

どのように記述されているか/記述は時代によってどう推移しているか

1原爆タブー・新指導要領,検定制度発足の時代(昭二○〜二五年)
2日米講和条約以後、原爆惨禍のとりあげの時代(昭二六〜二八年)
3原水爆禁止運動の盛り上がりと教科書内容規制へ向かう時代(昭二九〜三四年前半)
4情勢緊迫の時代(昭三四年後半〜三七年)
5原水禁大会分裂以後(昭三八〜現在)

7原爆教育に望むこと

終章 全国民・全教師への誓いと訴えと(楠忠之)

平和教育・原爆教育の原点を日々の実践にうつすために/1平和のための教育の追究−「原爆の子」、映画「ひろしま」の今日的意義/2子どもの生活体験との結びつきを/3歴史的事実の認識=原因を問う教育を/4現実をみきわめる眼を/5教師の課題と任務

補=ひろしま−原爆をかんがえる−(試案)

1八月六日八時十五分!/2被爆の苦しみといかり/3第二次世界大戦のありさま/4戦争をすすめた人びとのうごき/5原爆投下の目的/6原子爆弾の破壊力/7死の科学/8原爆症/9プレス・コード/10ストックホルム・アピール/11映画「ひろしま」/12第五福竜丸と平和運動の高まり/13広島の子どもたちのさけび/14いまなおつづく被爆の苦しみ/15被爆者の苦しみ、その責任はどこに/16日本人として思うこと

あとがきにかえて(宅和純)