最近の原爆被害をめぐるうごき


1.「原爆被爆者援護法」の成立

1994年12月9日成立、95年7月1日施行。正式名称:原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律
批判=戦争責任問題の回避。在外被爆者に適用されない。

2.米国立スミソニアン協会・航空宇宙博物館エノラ・ゲイ展

1995年6月28日〜98年5月18日
米国の団体・市民の原爆観・戦争観が表面化

3.国際司法裁判所の核兵器使用に関する勧告的意見

1996年7月9日
国際的反核運動の成果として高く評価される。

4.原爆ドームの世界遺産化

1996年12月5日
アメリカ・中国の反発


 これらの動きは、「原爆被害」あるいは「被爆者問題」が、決して過去のものとなっておらず、今日的な問題であると同時に、人類の未来にかかわる問題であると広く認識されていることを示している。


論点:原爆投下は正しかったか、日本は単に被害者か

広島・長崎に求められたもの

    *日本がもたらしたアジア・太平洋地域の戦争被害の実態を展示する
    *広島・長崎に原爆が投下されるに至った経緯を明らかにする
    *日本人原爆被爆者の加害性を明らかにする

なぜ、この時期に問題となったか

    *日本人の歴史認識に対する批判
    *日本の戦争責任の追及の広がり
    *世界的規模の歴史の見直し

成果と問題点

 アメリカ=原爆投下正当化論の根拠をゆるがす実証的研究
    その成果が国民に浸透しない。
 日本  =日本の加害の実態を示す資料発掘と日本の戦争責任への関心の高まり
    日本の平和運動や原水爆禁止運動の否定的見解の流布
    原爆被害のみの展示の是非は問題となったが、原爆被害そのものへの関心は希薄。


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