田原伯

田原 伯 たはら

つかさ

原爆文献研究家。終戦時に朝鮮半島から引き揚げる際、傷ついた被爆者や広島の廃虚を目撃したのが活動の原点に。1968年、今堀誠二広島大教授(当時)らと原爆被災資料広島研究会を結成し、原爆文学や被爆体験記、占領期文献などを網羅した「原爆被災資料総目録」第1~4集を発行。(『中国新聞』)
  生

 

20170510没

84歳

資料

1985 04  01 宇吹暁「蔵書あれこれ」『河図洛書―渓水社10周年記念』(渓水社、1985年4月1日)pp.140-143
原爆問題についての私の師の一人であるT(田原)氏との出会いは、広島市内のあるガレージであった。そこには、T氏の管理する原爆関係の本が持ち込まれていた。私は学生時代から平和、原爆問題に関心を持っていた。広島県の歴史の中でも重要なテーマと思い、その関連の本について、卒業後も気をつけていた。しかし、T氏の本の大半は、初めて目にするものであった。その後、T氏は、しばしば「蔵書を前の議論」の機会をつくってくれた。それは、私が、学生時代以来、久しく忘れていたものであった。私の原爆文献漁りが、T氏との出会いを契機に始まった。
2017 05 12 「田原伯氏死去 原爆文献を調査」『中国新聞』2017.5.12
2017 05 18 「悼記 綿密調査 非条理を告発 原爆文献研究家 田原伯さん 10日、84歳で死去」

「9年前に脳出血で倒れ、リハビリを続けたが、第5集の発行という執念は果たせなかった。「お疲れさま」と声を掛けたくなる。ただ、あの圧倒的な仕事ぶりに一度でも触れると、「後は任せて」とたやすく口にできない自分がもどかしい。原爆犠牲者の無念をしっかり継承できているのかどうか。核兵器が廃絶できない人類全体に対し、幻さんが残した宿題は重い。」(編集局長・江種則貴)『中国新聞』2017.5.18