原爆と広島大学 「生死の火」学術篇

『原爆と広島大学 「生死の火」学術篇』(広島大学原爆死没者慰霊行事委員会、19770910 )

目次

章節
自然科学の部
はじめに 竹山晴夫(広島大学長)
第I章  理・工学関係
第1節  物理学及び化学分野(竹山晴夫、禰宜田久男)
1.広島文理科大学物理学教室員による残存放射能測定 5
2.広島文理科大学化学教室員による残存放射能測定 8
3.平原英治による残存放射能測定 8
4.庄野直美の諸研究 8
5.藤原武夫の爆心の位置推定 8
第2節 動物学分野-原子爆弾災害の動物学的調査
1.情報収集から判断される被爆直後の動物相 9
2.第一次調査における動物相の状況 9
3.放射能による動物への影響を調べるための観察と実験 10
4.第二次調査の動物相の状況 11
第3節  植物学分野(藤田哲夫、安藤久次、田中隆荘)
1.原子爆弾の植物に対する影響調査のこと 12
2.被爆後爆心地附近に生じた雑草の調査と標本展示 16
3.被爆後広島市に残存または出現した蘚苔類の研究 16
4.原子爆弾による被害植物の解剖学的研究 17
第4節 地学分野-原子爆弾による岩石等の表面の剥離現象と溶解現象-(小島丈児)
まえがき 27
1.カコウ岩表面の剥離現象 27
2.岩石等の表面の溶融現象 28
3.熱線と爆風と剥離現象の前後関係 28
4.広島と長崎の比較 30
第5節  建築学分野(佐藤重夫、葛西重男)
1.広島原爆ドーム保存工事 31
2.原爆による広島市内建築物の破壊調査 37
第Ⅱ章 医学関係
第1節  原子爆弾被爆と医学研究-病理学を中心に-(飯島宗一)49
1.被爆影響の医学研究史概観 49
2.広島大学と病理学的寄与 52
3.ABCCと放射線影響研究所 53
4.被爆による医学的障害 55
第2節 医学部における初期の研究と原爆放射能医学研究所の設立(渡辺漸)
第3節  原爆放射能医学研究所の設立前後(志水清)
第4節 原爆放射能医学研究所における将来計画と協同研究への歩み(岡本直正)
第5節 ヒロシマと原爆(西丸和義)
1.私とその周辺 62
2.県立医専から医学部の周辺 63
第6節  原爆症の病理学的争点 体験からの考察-(杉原芳夫)65
1.原爆ケロイド 66
2.慢性原爆症-原爆の遅発性影響 68
3.被爆二世 76
おわりに 78
第7節 原爆の放射線量測定(竹下健児)
1.広島原爆と物理的調査 79
2.瞬間放射線 81
3.残存放射能 83
4.考察 87
第8節 原子爆弾被爆直後の罹災者の白血球数について(西丸和義)89
緒言 89
1.調査方法 89
2.調査成績 90
3.考察と総括 91
結語 95
第9節 原爆症ならびにその後遺症と神経精神医学的(小沼十寸穂)98
はしがき
1.原爆症亜急性期に関するもの 97
2.原爆症後遺症と神経精神医学的知見 98
3.その他の関連的知見 101
まとめ 102
第10節 原爆白内障(百々次夫、調枝寛治)105
1.原爆白内障の臨床的観察 105
2.原爆白内障の診断に関して 109
3.実験的研究の概要 110
4.まとめ 111
第11節  原爆被爆婦人の晩発障害と被爆後出産児の異常について
(田渕昭)
1.被爆婦人の晩発障害 112
2.被爆後出産児の異常 117
まとめ 121
第12節  広島における胎内原爆被爆児の障害-とくに発育障害について-
(藤原篤、平位剛)121
はじめに 121
1.流早死産と出産後の早期死亡 122
2.胎内被爆児の発育障害 122
まとめ 126
おわりに 127
第13節 原爆被爆者の内科的障害(蔵本淳)128
第13節 原爆被爆者の内科的障害(蔵本淳)128
1.急性障害の概要と初期の対策活動 128
2.広大原医研内科の診療状況と研究活動 129
第14節 回想 (上村良一)
第15節 原爆症と外科(江崎治夫)
第16節 原爆放射能医学研究所臨床第二(外科)部門研究概況(岩森茂)143
第17節 被爆者における衛生学的研究(奥田久範)145
第18節 悪性新生物の死亡統計(栗原登)147
第19節  広島の原爆被爆者白血病(大北威、高橋宏)151
1.序にかえて:白血病とはどういう病気か 151
2.原爆被爆者の白血病についての研究 152
3.広島における被爆者白血病疫学の概要と近況 155
第20節 広島被爆児より発生せる悪性新生物(大谷敏夫)160
第21節 原爆被爆者の甲状腺疾患(江崎治夫)165
1.はじめに 165
2.予備調査 167
3.研成績 167
付言 173
第22節 被爆者の胃がん、乳がん(服部孝雄、大屋正章、山県司政、名草幸博)174
はじめに 174
1.胃がんについて 175
2.乳がんについて 181
第23節  被爆者の肺癌(徳岡昭治)183
第24節 原爆と皮膚悪性腫瘍(矢村卓也)186
まえがき 186
まとめ 188
第25節  原爆被爆者と尿路性器疾患(石部知行、仁平寛巳、加藤篤二)189
第26節  原爆と唾液腺腫瘍(広瀬文男、武市宜雄)191
1.原爆被曝者に発生した唾液腺腫瘍 194
2.X線照射による唾液腺腫瘍の誘発 196
3.原爆被曝者の剖検例における唾液腺の組織変化 198
4.考察並びに将来の研究方向 199
第27節  放射線発癌-胃、直腸および前立腺における実験癌の誘発-(広瀬文男)
1.実験胃癌の誘発 201
2.実験直腸癌の誘発 207
3.実験前立腺癌の誘発 209
4.結語 210
第28節  速中性子照射による生物学的効果の側面-特に心臓異常発生の実験
奇形学的立場から-(岡本直正、佐藤幸男、日高惟登、秋本向孝、宮原晋一)211
はじめに
1.速中性子と、その生物学的効果について 212
2.心臓異常発生の催奇形源としての速中性子による実験 212
3.速中性子照射後の胚葉細胞の変化いわゆる急性期の症状について 213
4.染色体の変化について 214
5.照射後5日目以降の変化、特に心ループの変化について 214
6.心球部にみられる細胞死について
7.完全大血管の成り立ち方について 216
おわりに 218
第29節 中性子線の生物作用-原医研障害基礎研究師門-(安徳重敏)219
第29節 中性子線の生物作用-原医研障害基礎研究師門-(安徳重敏)219
1.緒言ん 219
2.中性子線およびγ線の物理的性質 219
3.急性致死のRBE 220
4.器管の細胞に対するRBE 221
5.中性子線障害の修飾因子 221
6.原爆放射線の特異性 222
7.結語 224
第30節 放射線の生物学的影響について(澤田昭正)225
1.中性子の影響 225
2.瞬間大線量照射の影響 232
3.DNAに対する放射線の影響 233
第31節 核酸と蛋白質にたいする電」放射線の影響-特にクロスリンクについて-(山本修)226
1.序 236
2.放射線による蛋白質の変性 237
3.含イオウアミノ酸と芳香族アミノ酸の特異的反応性 237
4.蛋白質-蛋白質クロスリンクの機構 238
5.蛋白質-核酸クロスリンクの機構 240
6.核酸-核酸クロスリンクの機構 241
7.生体内で得られた結果 242
8.非共有結合によるクロスリンク 212
9.結語 243
第32節 被爆者をめぐる社会医学的研究の動向(務中昌己)245
はじめに 245
1.研究部門開設の背景とその経過 245
2.研究対象とその学問的意義 245
3.研究の方法とその体制 245
4.研究の経過 246
5.被爆者をめぐる社会医学的研究の概要 217
6.被爆者をめぐる社会医学的研究上の問題点 218
7.被爆者をめぐる社会医学的研究の今後の方向と主たるテーマ 248
おわリに 249
第33節  原爆被災のシミュレーション(渡辺嶺男)249
1.シミュレーション 219
2.構造モデルと過去モデル 250
3.原爆被災の過去モデル 251
4.原爆被災包括モデル 251
第34節 被爆者医療(志水清)252
人文科学の部
第I章 人文科学関係(横田輝俊、磯貝英夫、松元寛)257
第Ⅱ章  社会科学関係(山田浩、北西允、横山英)260
はしがき 260
1.被爆の実態および調査 260
2.平和運動をめぐって 263
3.ヒロシマの戦後と世界の中のヒロシマ 266
第Ⅲ章 平和教育関係(大槻和夫)269
はじめに 269
1.長田新の平和教育論とその実践 269
2.教育学部附属中学校「原爆と平和」 271
3.教育学部社会科教室を中心とする調査研究 272
4.教育学部附属中・高校国語科の試み 273
5.教育学部附属小学校の『子どもと父母と教師が書いた、原爆の記憶』3部作 273
6. 平和教育の発展の中で 274
おわりに 276
原爆被災資料の問題をめぐって-広島大学と「披災資料センター」-(湯崎稔)279
1.はじめに 279
2.被災資料収集活動のはじまり 280
3.「原爆白書」運動の胎動 282
4.原爆被災白書運動と「資料センター」問題 281
5.学術会議と「資料センター」設置運動 291
6.「原爆被災学術資料セター」の発足 311
7.結びにかえて-今後の課題 312
あとがき 横田輝俊 314