「原水爆時代(今堀誠二)」カテゴリーアーカイブ

原水爆時代(下)

『原水爆時代 現代史の証言(下)』(今堀誠二、三一書房、19600806)

崩れぬ平和をかえせ
あるブルジョアの一家
三吉の少年時代
原爆の日より
広島日鋼争議
平和大会と「われらの詩」
朝鮮戦争への抵抗
砲声下の原爆詩集
平和運動の組織化へ
美しい生涯と原爆症
生きている峠三吉
朝鮮戦争に抗して
1 原爆禁止運動の烽火
原爆は世界をゆるがす、歴史の暗転期1949年、公安条例の舞台裏、イールズ声明と原子戦準備、平和擁護広島大会、ヒロシマは原子兵器の廃棄を要求する、もえあがっていた市民の願い、婦人運動と原爆理解、青年運動と青年教師、歴史の重み、平和擁護東京大会も原爆禁止を要求、国際的評価について
2 ストックホルム・アピール、原爆戦争にうち勝つ
広島平和擁護委員会、牧師・教授も平和委へ、開戦前のSアピール、朝鮮戦争を企てた人、戦時下の言論統制、広島平和委の弱体化、大会を支えるもの、8・6大会の前哨戦、大会の記録、巧妙を極めた非合法集会、共産党の分裂と大会のありかた、平和擁護日本委員会、第三次大戦を防止した8・6大会、枯尾花戦争とトルーマンの原爆使用声明、ワルソー大会と世界平和評議会、平和運動、原爆使用を阻む、朝鮮戦争は天佑か、日本戦没学生記念会、立ち上がった青年団、Sアピール運動掉尾を飾る、立ち上れない労働者、労働者の意識構造、ある詩人のねがい、
3 流星光底長蛇を逸す
マスコミへの注文、国民運動の目標、全面講和運動、ベルリンアピールをめぐって、即時停戦が必要だったのに、マ元帥の解任、朝鮮停戦交渉の舞台裏、平和運動の良心と責任、レジスタンス、平和の闘士団、署名運動と組織強化、警官包囲下の8・6大会、平和戦線とは何か、平推の消長、単独講和と二挺拳銃の平和記念祭、踏まれてもけられても、情勢判断を誤った平和運動、
4 冬の旅を行く
人命は冷戦より尊い
1 原水協のうまれるまで
ビキニ事件、原水爆にたいする国民のいかり、杉並アピール、アピール運動の性格、全国協議会の結成、原水爆禁止運動広島協議会、8・6広島平和大会、広島大会の提案、署名運動の意義、日本原水協の成立、
2 輝かしい啓蒙-ヒロシマ大会
10年前と同じ時間に同じ場所で、鳩山首相の立場、アメリカ人の願い、平和を願うものと願わないもの、原爆被害者の生活と意見、アメリカ民衆との共同戦線、学者の役割、大衆のものとなった運動、禁止運動、救援運動に結びつく、基地問題と運動の進め方、歴史をになうもの、組織上での暗影、署名運動および大会の評価、
3 原水爆戦略との対決をめざして-ナガサキ大会
世界を動かす原爆禁止の声、参加した人々、国際連帯の花の輪、危機は去らない、沖縄は日本を制圧するための基地でもある、渡辺千恵子氏の発言、被爆者のなやみと喜び、原子力の平和利用、運動のすすめ方、
4 フォールアウトとロケット基地にいどむアジア民族主義-第三回大会
地方での大会風景、国際的な予備討議、世界の期待をあつめて、演説のかずかず、失敗した議事運営、政治ととりくむ禁止運動、大会運営の問題点、高い指導と全国民の参加を、原水協の苦悩、歴史のうねり、
5 東西の兵力引離しと日本の非核武装化のために-第四回大会
総選挙に敗れた原水協、ICBMは世界を変えた、欧米の運動NATOをゆるがす、核武装と国民の批判、核武装した自衛隊と米軍基地、国民生活の圧迫と被爆者の援護、日本人はアジアを見損なっている、運動の進め方の評価と反省、国際会議は成功したか、政治目標を明示した宣言と決議、原水協の強化と世界の命運、
6 東西融和の促進と安保改訂-第五回大会
原水爆時代のマニュフェスト、大衆は平和行進と大会を支持した、自民党と右翼のおもわく、大会内部の右翼的偏向、大会における左翼的偏向、東西融和の具体策を欠く、
7 世界大会への批判と妨害と謀略-一部外国代表の思想と行動
ヤング卿らの脱退劇、理由は無理に作られた、ものにならなかったスクープ、第三回大会の妨害者、第四回大会の妨害はなぜおこったか、第五回大会の工作者と同調者、大会と朝鮮人
新紀元は始まる
 一発で地球を全滅させる爆弾、戦争の準備をはじめた平和産業、日本と沖縄の核武装はすすむ、安保条約は朝鮮戦争の落とし子、新安保はアメリカの要求、新安保に託する岸・藤山の夢、アジアは新安保に反対する、頂上会談はなぜ流れたか、新安保の国会採決は冷戦激化の謀略、冷戦を終らせる道、ヒロシマの十字架から新紀元は始まる
  あとがき
上巻は庶民の動きを中心として叙述を進めた。
下巻もそのつもりで草稿をまとめ、朝鮮戦争以後における原爆被災者・青少年・婦人・学者・ジャーナリスト・芸術家(美術・文学・演劇)・労働者・農民・漁民などが、どんな役割を果たしてきたかをあとづけるつもりだった。
運動の発展をみつめるとともに、それを妨げる社会の壁を、写し出すことが、ねらいとなっていた。
 しかし、安保問題の発展につれて、この計画は根本的に変更せねばならなくなった原水爆禁止運動は、国際政治の変転につれて、重大な段階にさしかかり、国内政治の面でも、高度の政治性を帯びるに至ったので、庶民の動きという間接描写の方法では、焦眉の問題に焦点を合せることが、出来なくなってしまった。
今からの一、二年間は、原水爆時代を終らせるチャンスであるとともに、原水爆戦争のピンチともいえる。
本書が政治技術を中心として、運動の展開をあとづけることにしたのは、正しい政治路線の発見に、ささやかながらも資料を提供したいと考えたからである。

 

原水爆時代(上)

『原水爆時代 現代史の証言(上)』(今堀誠二、三一書房、19590721)

 登場人物  備考
ピカドンに死なず
幽鬼の町ヒロシマ
今堀誠二 山口県の西北海岸、一兵士。
古賀八重子
少国民の最後
「菩提樹」をうたう少女
敗戦を飾る犠牲者の美
世界の良心は告発する
ピカドンに屈せず
古賀八重子=その後沖原氏と結婚。呉でしあわせな家庭。
占領軍に屈せず
1 第二の誕生
「生ましめん哉」
栗原氏と「中国文化」
栗原貞子、栗原唯一、猪熊弦一郎、細田民樹
プレスコード下の最初の刊行物
『中国文化』創刊号
ヒロシマは歴史の証人
2 ざんげの道
悲嘆の日記「さんげ」
トマトをめぐる母子の悲歌
守られた非合法出版物
死の商人のざんげ
地球を動かす支点
警告ビラは回収された
3 無欲の顔
村にきたジープ
原爆について語るな
作家の眼がとらえた「屍の街」
無欲顔貌
人間の精神はボロになった
平和をかえして下さい
いまだ癒えぬ傷あと
4 原爆エレジー
原子野に咲いた「夏の花」
壊された詩碑
忘れかけたあの日の記憶
「長崎の鐘」
原爆エレジーの流行
5 よみがえった記録映画
映像になった記録
占領軍の撮影禁止
生きていたプリント
公開された被爆写真
6 科学者の道
廃墟に芽ばえた国民の科学
災害調査はじまる
奇病の発生第二期症状
病理へ振るうメス
全滅した劇団「桜隊」
都築氏の活躍
世界最初の原爆症講演会
原爆症救護病院
山津波にのまれた京大班
災害調査研究特別委員会
きびしい原爆の秘密保持
撤去された研究施設
原爆はGHQのタブー
終戦の日に始った原爆戦争の準備
恐るべき後遺症
原爆症とは何か
被爆者はABCCのモルモットか
原爆禁止は科学者の道
ノー・モア・ヒロシマ
1 原爆は戦争ではない
広島に向った青い眼の記者
死臭と敵意の中で
ヒロシマからの報告
人類よ!広島をくり返すな
原爆患者の存在を抹殺
勝利した官製ニュース
二つの原爆処理方式
科学者の「十字軍」
2 人道主義と反戦主義
全米を震撼させた実話小説
「ヒロシマ」の主人公たち
人道主義の原爆否定
同情はごめんだ
アメリカの盲点
世界連邦主義
ピース・センターと精神養子
原爆乙女の厚生
憤激をかったルーズベルト夫人
原爆乙女は立証する
3 平和祭
広島平和復興祭
46・7年の世界の動き
マ元帥の教書と「平和宣言」
原爆をとりあげたアメリカの新聞
8・6をカーニバルにするな
世界でもたれたヒロシマ・デー
貧弱だった「原爆否定の研究室」
平和こそ女性の幸福の源
原爆外交と広島の復興
大衆から浮いた平和祭
4  偏見を乗り越えて
東洋にかけるアメリカの橋
クエーカーの絶対平和主義
シュモー氏の「広島の家」
私は共犯の屈辱を抱いてここに立つ
神よ平和を来らし給え
むずかしい平和住宅の運営
ブ夫人の公民館
平和運動を離れた「広島の家」
平和精神をうらづけるものは何か
シュ氏のピントの甘さ
ブ夫人への一票は原爆防止の一票
過ちは繰返しませぬ
殴殺されたアメリカ兵
恩讐を越えた供養塔
原爆で死んだ異国の人
安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから
あとがき