今堀誠二「広島原爆被災資料の保存をめぐって」(『芸備地方史研究76』芸備地方史研究会、19690131)
内容
章 | キーワード(人物・著書・団体など) | 備考 |
1 | ||
ロベルト・ユンク | ベルリン大学歴史学科出身、 | |
千の太陽よりも明るく | ||
Robert Jungkには広島の災害と、戦後の被爆者の生活史をえがいた「灰墟の光- 甦えるヒロシマ」があるが、その作製のため来広した時、直接会って見聞したときの聴取による。 | ||
遠山茂樹 | 昭和史 | |
西島有厚 | 原爆はなぜ投下されたか | |
広島の災害については、歴史学から見た場合、ほとんど何も解明さ れていないと言っても過言ではない。被災者の数、死亡者の数、原爆孤児の数、原爆乙女や原爆孤老の数、どれ一つとして、概数さえつかめていない。まして家族の欠損がどんな意味をもったか、失われた富はどの位か、被爆者の精神はどんな点に特徴があるか等々、被災の基礎的事実を客観的にとらえようとする努力は、殆んどなされなかった。 |
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原爆資料館 | ||
ジョン・ハーシー | 「ヒロシマ」 | |
ユンク | 「灰墟の光」 | |
2 | 別記<リンク> | |
3 | 別記<リンク> | |
4 | ||
被災資料の内容は、当時の記録や遺物だけでなく、その後の被爆者のあり方を、体系的に把握するため、聴取・写真・映画などにより、残していくことが大切なので、既存資料をあつめる作業のほかに、価値ある資料を作っていく作業が重要である。 その具体的方法は、原爆被災白書推進委員会が1966年に発表した 「日本政府による原爆被災白書の作製に関する要望書」が、 言わば第一次案と呼ぶべきものである。 学術会議が数回にわたってくりかえしたシンポジウムの報告書は、 いずれもまとめられているが、アンチテーゼに相当するレポート である。学術会議が政府に申入れて、発足も間近い特別委員会(ワーキングーグループ)が、この作業を本格的に始めれば、原案の作製が期待できる。 ここに、私の個人的見解を記してみるつもりであったが、紙幅の都合上割愛する。 いずれにしても、被爆者を含めた市民の積極的な協力と、創造力に富んだ研究者の専門的能力と、政府・県・市・大学等の全面的な支援か必要であって、自主・民主・公開の原則を守り、被爆者の立場に立って構想することが、プラン作製の原則であろう。歴史家の任務はまことに重大である。 |
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