原子爆弾被爆者の医療・健康管理
並びに援護に関する陳情書
1958年8月30日
私共原爆被爆者のため、昨年四月原子爆弾被爆者の医療等に関する法律を制定せられ、被爆者の医療並びに健康診断が行われることとなり、誠に感謝に堪えない次第であります。
しかしながら、原爆症の治療につきましては、未だ根本的な治療法はないと伝えられているのであります。
加うるに被爆者は特別の健康状態にあり被爆後十三年の今日に至ってもなお発病し重体に陥り不測のうちに死亡するものがあとをたたない現状であります。
これは現に原爆症で悩んでいる多数の患者のみならず被爆者は一様に原爆症に対する不安におびえているのであります。
又、原爆被爆者は、一般の被災者と異なり、経済の基盤を失ったものが多く身体的にも活動能力を阻害され、日常生活をおびやかされているものが多数あるのであります。
以上申し述べました事情御賢察の上、被爆者の医療と健康管理との万全並びに援護対策の確立のため左記事項につきまして格別の御配慮を賜わらんことを切に懇願申し上げる次第であります。
一 医療範囲の拡大
二 温泉治療を認められたいこと
三 医療交通費の支給
四 生活援護費の支給
五 被爆者福祉センターの設立
六 健康管理の完全を期するため栄養物の補給
七 根治療法の確立
八 原爆死没者の遺族援護の確立
昭和三十三年八月三十日
広島市原爆被害者の会連合会 会長 渡辺 忠雄
広島県原爆被害者団体協議会
代表委員 森滝 市郎
〃 藤居 平一
〃 伊藤 正子
〃 井上 昇
殿