被爆者の援護対策の確立に関する陳情書
1958年8月30日
被爆者は、一般の被災者と異なり経済の基盤を失った者が多く、身体的にも活動能力をそ害されているのが現状であります。
医療をうけるに際しましても、経済基盤がしっかりしていないと生活に優先されて医療がおろそかにならざるを得ません。
現に障害者の中には人院治療を必要としながらなお入院をちゆうちょするもののあることであります。
その数は明らかにすることは困難でありますが、これらの事実のあることは被害者の集いのあるところ必ず聞かれるところであります。
これらの人々は、生活保護法のあることを承知しているものでありますが、できるだけこれをさけて自立再起したいという念願に外なりません。
つきましては、右事情御賢察の上、左記各項目について被爆者の援護対策を確立せられ、もって、被爆者の医療と健康管理との万全が期せられますよう格段の御配慮を賜わりたく、切に懇願する次第であります。
一 医療中における生活保障(医療前に得ていた収入を一定限度において確保する。)を確立すること。
二 医療交通費の支給
三 指定病院へ寝具の備付
四 身体障害者の装具の支給(例えば白内障治療による眼鏡或は身体障害者の義足等)
五 被爆者福祉センターの設立(被爆者の生活相談、職業補導施設、休養施設、宿泊施設など総合的なもの)
昭和三十三年八三十日
広島市長 渡辺 忠雄
広島市議会議長 仁都栗 司 殿