昭和天皇の「極秘指令」

『昭和天皇の「極秘指令」』(平野貞夫著、講談社、20040410)

内容

まえがき 昭和天皇が託された願い1
前尾衆議院議長の遺言
昭和天皇のある「ご意志」16
核防条約に残された謎17
衆議院議長の真の力19
1 昭和天皇と田中角栄
自民党独裁政治の申し子24
社会的弱者の救済を26
権力の階段29
天皇のエリート官僚びいき31
アメリカの虎の尾34
田中首相は天皇が苦手35
外国人の天皇観を逆手に38
天命が田中角栄を見限った理由41
三木政権の功罪43
2 「ロッキード国会」の真相
原稿用紙三二九枚の覚書46
戦後最大のスキャンダルの裏側47
侍従長日記の興味深い記述50
捏造された診断書52
証人喚問が定着しないわけ55
国会決議は冷酒56
誰も予想しなかった「三木首相親書」58
前尾議長の斡旋に託す自民党62
衆議院議長が万能になる条件64
前尾議長に頼り切る三木首相66
社会党左派の誘い68
田中前首相への引退勧告70
「解散は絶対にさせない」72
CIA資金の行き先74
中曽根幹事長の奇妙な動き77
灰色高官公表に関する裏協定79
民社党の極秘工作82
3 衆議院議長の決意
解散阻止への異常なエネルギー86
外国からの資金提供と幹事長88
議長への「天の救い」91
鬼の形相92
憲政史上初の会談93
「宮本武蔵の心境か」96
議会政治史百年で初のケース98
テレビに出たいがために99
衆参両院議長の覚書の中身102
息を呑む書記長105
党首会談の早期開催への執念107
「なんとか今夜中に五党首会談を」109
一番長い日112
共産党・宮本委員長の仕切り114
鬼気迫る議長の執念116
核防条約にこだわる議長117
社会党・親中国派の反対120
戦後政治史の謎121
わずか一日の質疑125
その後のロッキード事件127
4 放置された核防条約
国会承認までに要した六年134
核防条約の真の狙い135
二つの意義136
不戦を誓った側面138
統一されなかった国論139
インドの核実験で昭和天皇は142
反対派の巧妙な抵抗144
自民党タカ派がつけた条件146
議長として最後の仕事149
前尾議長の奏上が長い理由151
各国元首の天皇への質問153
前尾議長が知った天皇のご心痛158
田中前首相逮捕の代償で160
奏上文に込めた遺志162
5 昭和天皇がもっとも信頼した政治家
内奏の部屋とは166
天皇がされた居睡りのあとで167
芸者遊びをお耳に入れた天皇は171
天皇のお気持ちを高松宮が173
死ぬまで国会議員をやる176
占領軍に抵抗して左遷178
衆議院議長が混乱を収拾する力180
防衛問題に対する昭和天皇のご発言182
6 昭和天皇と原子爆弾
最高の軍事機密「ニ号研究」188
海軍の原爆開発「F研究」191
天皇に叱責された東条英機194
原爆開発を裏づける議会証言197
足摺岬まで伝わっていた原爆開発200
東京大空襲のあと反対をしりぞけて視察203
戦争終結への一念206
八月二日までに「ポツダム宣言」を受諾していれば210
広島の真の惨状213
一時間ごとに状況をたずねられた天皇216
戦争終結への毅然たるお言葉218
小倉なら広島以上の犠牲222
トルーマン大統領のコンプレックス224
仁科博士が空から見た広島226
「私のことはどうなってもかまわない」227
「これでは国体は護持できない」230
軍部を説得された天皇232
涙を流される天皇235
日本が降伏した本当の理由236
「聖断」までの軍部との緊張241
広島で政治へのご不満を243
皇太子への手紙に示された真の姿246
7 天皇と憲法
天皇の政治的発言は禁じられているか250
奏上のたびに高まったお気持ち254
日本のためを考える人間同士として258
核問題についての昭和天皇の真意260
昭和天皇の深い苦しみ262
象徴天皇の「霊性」と憲法264
あとがき―昭和という時代の教訓268
年表272