『戦後文学を問う―その体験と理念』(川村湊、岩波新書、19950120)
内容
章 | |||
序 | 「戦争」が終わった | ||
帰還/死者たち/たどりつけない「日本」/廃都の獣/戦後文学の始まり | |||
Ⅰ | 初めての海外旅行 | ||
1 | |||
中国へ―中野重治/「事実を見て書く」/反右派闘争をめぐって/政治に従属する文学/「片寄った眼」 | |||
2 | |||
1960年の「中国」―開高健/砕けちる幻想/「大躍進」を見る―野間宏/健全で幸福な旅-大江健三郎 | |||
Ⅱ | 放散するエネルギー―60年安保と文学 | ||
1 | |||
パルタイの時代―倉橋由美子/若い世代の信仰告白/青春の群像―舟橋聖一/連帯をうながすもの/衝動に走る若者たち/ | |||
2 | |||
学生運動の精神的風景―柴田翔/純粋を志向する青春/観念的風俗の小説群/エネルギーの追い風=野間宏/虚無に支えられたエネルギー―石川淳// | |||
Ⅲ | 1960年の雛祭り | ||
1 | |||
目に見えないタブー/説得力のない擁護/夢の物語/悪意あるイタズラ/三島由紀夫の配慮// | |||
2 | |||
「聖婚」への反対者/作家の孤立///// | |||
Ⅳ | ベトナムを見る眼 | ||
1ベトナム青年の銃殺―開高健 | |||
〈見る〉ことの犯罪性/25年ののちに―日野啓三/〈聞く〉体験/インドシナ地域への関心/三角関係の構造―結城昌治/「ベトナム」の意味する者/ベトナム・朝鮮・日本 | |||
Ⅴ | 〈性〉の冒険者たち | ||
方法としての〈性的なもの〉―大江健三郎/文学の新潮流/性的人間/原初的欲求の解放―宇能鴻一郎/現実に追いつかれる文学/〈性的なもの〉の変貌/”性の自叙伝”の系譜/観念化された〈性〉/野坂昭如の世界/ | |||
Ⅵ | 関係としての〈性〉 | ||
ジェンダーの文学/「内向きの世代」―古井由吉/日常生活のエロティシズム/徹底した性描写―中上健次/80年代の〈性〉―村上龍・山田詠美/孤独な男たち/母体回帰の物語/フェミニズム的視点 | |||
Ⅶ | クルマの中の闇 | ||
1 | |||
移動する”個室”/小説空間としてのクルマ―義之淳之介/家庭崩壊とクルマー立松和平/浮遊する密室/// | |||
2 | |||
ガレージに住む少年―日野啓三/孤独で凶暴なクルマ/自画像としてのクルマ―村上春樹/魔法の箱 | |||
Ⅷ | 「家」が流れる | ||
漂泊する「家」―宮本輝/宙吊りのコンクリート箱―後藤明生/「家」を脅かす”敵”/歪んだ「家」―干刈あがた/戦後民主主義の帰結―山田太一/ | |||
Ⅸ | 普遍化する〈アメリカ〉 | ||
1 | |||
作品空間のアメリカ化/”新世界”を目指す文学―村上春樹/〈アメリカ〉の変貌/〈アメリカ〉化する感性/私たち内部の〈アメリカ〉// | |||
2 | |||
〈アメリカ〉への変身願望/テーマとしての「亡命」/黒人と混血児/”ここがアメリカだ、ここで跳べ” | |||
Ⅹ | 「在日する者」の文学 | ||
1 | |||
定着しない呼称/その誕生/三つの問題意識/第一世代とその前史/第ニ、第三世代/ | |||
2 | |||
新たな事態/「アイデンティティーの危機」の消失/立原正秋と金石範/否定される「民族」/在日朝鮮人文学から在日の文学へ | |||
終 | 「戦後文学は」が終わった | ||
新しい文学の予兆/みなし子の物語-吉本ばなな/家庭崩壊から孤児感覚へ/文学伝統からの孤立―笙野頼子/夢の世界のリアリティー/架空の「地図」と「地誌」/日本の新しい文学 | |||
作家一覧 | |||
止