日本の誕生

『日本の誕生』(吉田孝、岩波新書、19970620)

内容

序章 「それでは憶良がかわいそうだ」
山上憶良と「日本」/大宝の遣唐使/「倭」から「日本」へ/則天武后と粟田真人/「いざ子ども早く日本へ」/「日本」「倭」とヤマト/
1 東アジア世界と「倭」の出現
日本列島と農耕社会の成立/秦漢帝国の出現と東アジア/倭人のクニの登場/東夷の倭の奴国王と、西南夷の滇王/最初の奴国王は渡来人か/
2 倭の女王と交易
東アジアの変動と女王=卑弥呼の登場/失われた記録/卑弥呼を親魏倭王に冊封/都市牛利と「都市」/「都市」は官名か/王権と交易/王の権威を表す品々/卑弥呼の王権を支えるもの/なぜ倭の政治的な統合は早かったのか/卑弥呼の二つの顔/生口と戦争/
3 大王(天皇)にも姓があった
中国周辺民族の台頭と高句麗の発展/百済・新羅の国家形成と倭の朝鮮半島への進出/広開土王碑の語るもの/広開土王碑のなかの「倭」/倭の五王、中国南朝へ遣使/倭王の武/ワカタケル大王/東アジア世界の「姓」/新羅は金・銀の国/
4 東海の帝国への道
転換期に立つワカタケル大王/朝鮮半島から渡来した人びと/渡来人が伝えた文化/「任那」とは何か/倭と「任那」/仏教の伝来/「飛鳥は日本文化のふるさと」/渡来人と「日本」「日本人」/中国王朝との通交再開の背景/600年の遣隋使/無視された600年の遣隋使/日出づる処の天子/ウヂ名と姓の萌芽/
5 クーデターと「革命」
戦争と内乱の世紀の幕開け/激動する朝鮮諸国/宮中のクーデター/譲位のはじまり/改新政権の発足/新羅の金春秋の選択/百済の滅亡/白村江の戦と高句麗の滅亡/国際情勢の変化と倭の朝廷/壬申の乱/天武・持統朝と古代官僚制/文字の世界へ/
6 「日本」の国号の成立
アマテラス=天照大神の登場/「日本」の国号はいつ成立したか/日の出と「日本」/「天皇」号の成立/銀と銀銭/だまされた「大宝」の年号/大宝律令―統治技術の先取り/日本と吐蕃/古代日本の国際的環境/律令国家の二重構造―律令制と氏族制/文字と家の制度/
7 大仏開眼と金
平城京と和同開珎<カイチン>/辺境への侵略/内外に高まる緊張/廬舎那仏の造立と黄金の出現/大仏開眼と新羅皇子の来日/新羅使がもたらした金/天平文化と墾田永年私財法/公地公民とは何か/近代からのまなざし/藤原仲麻呂の儒教政治/僧、道鏡の進出/天皇と儒教・仏教/
8 ヤマトの古典的国制の成立
新しい王朝の成立/新しい京と祭天の儀礼/怨霊と平安京/征夷大将軍の出現/天皇の制度の確立/源・平の出現と名前の唐風化/摂政・関白の出現/家の相続の萌芽/神仏習合への道/ウメからサクラへ/唐風化による国風化/かな文字の創造/日本語の音韻の変化/閉ざされた社会へ/王土王臣思想とケガレ/東アジア世界の変化/東アジアのエトノス(民族)/エトノスと文字/ヤマトの古典的な国制と文化
終章 ヤマトと「日本」
「日本」は王朝名/ヤマト・倭(和)・日本/ヤマトとニッポン・二ホン/日本と「ひのもと」/「日本」と天皇/「日本史」とは何か/残された課題
 参考文献
あとがき