短歌:宇吹ヤス

宇吹ヤスの短歌(抄)

年月日
1971
0310 『火幻 1971春号』p.38
疎まるる眸<ひとみ>に馴れし淡き姿〈かげ〉菊香やさしき座に固くおり
白髪に杖曳く姿を写しいるわが店の鏡をひたに拭いぬ
あえなくも消ゆる淡雪日陰にて固くよろえる残雪もあり
子に生きし母もかくやとふし高きわが手見つむも透ける湯槽に
欲しきものボーナスでという吾子の笑顔百合の蕾の大きくふくらむ
水欲りて逝くきし人らの霊魂〈みたま〉ともなめずる仕草冬風〈かぜ〉に揺るる灯(平和の灯)
シルクロードの幻想曲余韻に浸りつつ出ずる歩道をかけゆく落葉