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広島大学と「被災資料センター」

湯崎稔「原爆被災資料の問題をめぐって-広島大学と『被災資料センター』」(『原爆と広島大学 「生死の火」学術篇』、広島大学原爆死歿者慰霊行事委員会、19770910 )

1. はじめに
2. 被災資料収集活動のはじまり
その先駆的活動
長岡省吾と原爆資料館
3. 「原爆白書」運動の胎動
『原水爆白書』
地元紙による白書キャンペーン
金井の「被害白書」提案
4. 原爆被災白書運動と「資料センター」問題
「談和会」運動
原医研の「標本保存センター」計画
「7人委員会」の白書運動支援
佐藤首相会見と要望書提出
原医研の「原爆被災学術標本センター」の設置要求
「原爆被災学術標本センター」の構想内容
「センター構想」に対する市民の反応
原医研「原爆医学標本センターの開設」
「白書推進委員会」と「市民の会」の発足
「白書推進委員会」の活動
5. 学術会議と「資料センター」設置運動
学術会議の取り組み
「原災研」の発足と資料収集の高まり
資料センターをめぐる研究班活動
学術会議の資料センター設置勧告
センター設立推進運動の展開
センター設立推進組織の発足
全国推進組織の発足と「センター案」の具体化
学術会議の「合同会議」と「被災資料小委員会」
学術会議の政府申入れ
AFIPからの資料返還と世論の高まり
6. 「原爆被災学術資料センター」の発足
7. 結びにかえて-今後の課題

 

 

原爆と広島大学 「生死の火」学術篇

『原爆と広島大学 「生死の火」学術篇』(広島大学原爆死没者慰霊行事委員会、19770910 )

目次

章節
自然科学の部
はじめに 竹山晴夫(広島大学長)
第I章  理・工学関係
第1節  物理学及び化学分野(竹山晴夫、禰宜田久男)
1.広島文理科大学物理学教室員による残存放射能測定 5
2.広島文理科大学化学教室員による残存放射能測定 8
3.平原英治による残存放射能測定 8
4.庄野直美の諸研究 8
5.藤原武夫の爆心の位置推定 8
第2節 動物学分野-原子爆弾災害の動物学的調査
1.情報収集から判断される被爆直後の動物相 9
2.第一次調査における動物相の状況 9
3.放射能による動物への影響を調べるための観察と実験 10
4.第二次調査の動物相の状況 11
第3節  植物学分野(藤田哲夫、安藤久次、田中隆荘)
1.原子爆弾の植物に対する影響調査のこと 12
2.被爆後爆心地附近に生じた雑草の調査と標本展示 16
3.被爆後広島市に残存または出現した蘚苔類の研究 16
4.原子爆弾による被害植物の解剖学的研究 17
第4節 地学分野-原子爆弾による岩石等の表面の剥離現象と溶解現象-(小島丈児)
まえがき 27
1.カコウ岩表面の剥離現象 27
2.岩石等の表面の溶融現象 28
3.熱線と爆風と剥離現象の前後関係 28
4.広島と長崎の比較 30
第5節  建築学分野(佐藤重夫、葛西重男)
1.広島原爆ドーム保存工事 31
2.原爆による広島市内建築物の破壊調査 37
第Ⅱ章 医学関係
第1節  原子爆弾被爆と医学研究-病理学を中心に-(飯島宗一)49
1.被爆影響の医学研究史概観 49
2.広島大学と病理学的寄与 52
3.ABCCと放射線影響研究所 53
4.被爆による医学的障害 55
第2節 医学部における初期の研究と原爆放射能医学研究所の設立(渡辺漸)
第3節  原爆放射能医学研究所の設立前後(志水清)
第4節 原爆放射能医学研究所における将来計画と協同研究への歩み(岡本直正)
第5節 ヒロシマと原爆(西丸和義)
1.私とその周辺 62
2.県立医専から医学部の周辺 63
第6節  原爆症の病理学的争点 体験からの考察-(杉原芳夫)65
1.原爆ケロイド 66
2.慢性原爆症-原爆の遅発性影響 68
3.被爆二世 76
おわりに 78
第7節 原爆の放射線量測定(竹下健児)
1.広島原爆と物理的調査 79
2.瞬間放射線 81
3.残存放射能 83
4.考察 87
第8節 原子爆弾被爆直後の罹災者の白血球数について(西丸和義)89
緒言 89
1.調査方法 89
2.調査成績 90
3.考察と総括 91
結語 95
第9節 原爆症ならびにその後遺症と神経精神医学的(小沼十寸穂)98
はしがき
1.原爆症亜急性期に関するもの 97
2.原爆症後遺症と神経精神医学的知見 98
3.その他の関連的知見 101
まとめ 102
第10節 原爆白内障(百々次夫、調枝寛治)105
1.原爆白内障の臨床的観察 105
2.原爆白内障の診断に関して 109
3.実験的研究の概要 110
4.まとめ 111
第11節  原爆被爆婦人の晩発障害と被爆後出産児の異常について
(田渕昭)
1.被爆婦人の晩発障害 112
2.被爆後出産児の異常 117
まとめ 121
第12節  広島における胎内原爆被爆児の障害-とくに発育障害について-
(藤原篤、平位剛)121
はじめに 121
1.流早死産と出産後の早期死亡 122
2.胎内被爆児の発育障害 122
まとめ 126
おわりに 127
第13節 原爆被爆者の内科的障害(蔵本淳)128
第13節 原爆被爆者の内科的障害(蔵本淳)128
1.急性障害の概要と初期の対策活動 128
2.広大原医研内科の診療状況と研究活動 129
第14節 回想 (上村良一)
第15節 原爆症と外科(江崎治夫)
第16節 原爆放射能医学研究所臨床第二(外科)部門研究概況(岩森茂)143
第17節 被爆者における衛生学的研究(奥田久範)145
第18節 悪性新生物の死亡統計(栗原登)147
第19節  広島の原爆被爆者白血病(大北威、高橋宏)151
1.序にかえて:白血病とはどういう病気か 151
2.原爆被爆者の白血病についての研究 152
3.広島における被爆者白血病疫学の概要と近況 155
第20節 広島被爆児より発生せる悪性新生物(大谷敏夫)160
第21節 原爆被爆者の甲状腺疾患(江崎治夫)165
1.はじめに 165
2.予備調査 167
3.研成績 167
付言 173
第22節 被爆者の胃がん、乳がん(服部孝雄、大屋正章、山県司政、名草幸博)174
はじめに 174
1.胃がんについて 175
2.乳がんについて 181
第23節  被爆者の肺癌(徳岡昭治)183
第24節 原爆と皮膚悪性腫瘍(矢村卓也)186
まえがき 186
まとめ 188
第25節  原爆被爆者と尿路性器疾患(石部知行、仁平寛巳、加藤篤二)189
第26節  原爆と唾液腺腫瘍(広瀬文男、武市宜雄)191
1.原爆被曝者に発生した唾液腺腫瘍 194
2.X線照射による唾液腺腫瘍の誘発 196
3.原爆被曝者の剖検例における唾液腺の組織変化 198
4.考察並びに将来の研究方向 199
第27節  放射線発癌-胃、直腸および前立腺における実験癌の誘発-(広瀬文男)
1.実験胃癌の誘発 201
2.実験直腸癌の誘発 207
3.実験前立腺癌の誘発 209
4.結語 210
第28節  速中性子照射による生物学的効果の側面-特に心臓異常発生の実験
奇形学的立場から-(岡本直正、佐藤幸男、日高惟登、秋本向孝、宮原晋一)211
はじめに
1.速中性子と、その生物学的効果について 212
2.心臓異常発生の催奇形源としての速中性子による実験 212
3.速中性子照射後の胚葉細胞の変化いわゆる急性期の症状について 213
4.染色体の変化について 214
5.照射後5日目以降の変化、特に心ループの変化について 214
6.心球部にみられる細胞死について
7.完全大血管の成り立ち方について 216
おわりに 218
第29節 中性子線の生物作用-原医研障害基礎研究師門-(安徳重敏)219
第29節 中性子線の生物作用-原医研障害基礎研究師門-(安徳重敏)219
1.緒言ん 219
2.中性子線およびγ線の物理的性質 219
3.急性致死のRBE 220
4.器管の細胞に対するRBE 221
5.中性子線障害の修飾因子 221
6.原爆放射線の特異性 222
7.結語 224
第30節 放射線の生物学的影響について(澤田昭正)225
1.中性子の影響 225
2.瞬間大線量照射の影響 232
3.DNAに対する放射線の影響 233
第31節 核酸と蛋白質にたいする電」放射線の影響-特にクロスリンクについて-(山本修)226
1.序 236
2.放射線による蛋白質の変性 237
3.含イオウアミノ酸と芳香族アミノ酸の特異的反応性 237
4.蛋白質-蛋白質クロスリンクの機構 238
5.蛋白質-核酸クロスリンクの機構 240
6.核酸-核酸クロスリンクの機構 241
7.生体内で得られた結果 242
8.非共有結合によるクロスリンク 212
9.結語 243
第32節 被爆者をめぐる社会医学的研究の動向(務中昌己)245
はじめに 245
1.研究部門開設の背景とその経過 245
2.研究対象とその学問的意義 245
3.研究の方法とその体制 245
4.研究の経過 246
5.被爆者をめぐる社会医学的研究の概要 217
6.被爆者をめぐる社会医学的研究上の問題点 218
7.被爆者をめぐる社会医学的研究の今後の方向と主たるテーマ 248
おわリに 249
第33節  原爆被災のシミュレーション(渡辺嶺男)249
1.シミュレーション 219
2.構造モデルと過去モデル 250
3.原爆被災の過去モデル 251
4.原爆被災包括モデル 251
第34節 被爆者医療(志水清)252
人文科学の部
第I章 人文科学関係(横田輝俊、磯貝英夫、松元寛)257
第Ⅱ章  社会科学関係(山田浩、北西允、横山英)260
はしがき 260
1.被爆の実態および調査 260
2.平和運動をめぐって 263
3.ヒロシマの戦後と世界の中のヒロシマ 266
第Ⅲ章 平和教育関係(大槻和夫)269
はじめに 269
1.長田新の平和教育論とその実践 269
2.教育学部附属中学校「原爆と平和」 271
3.教育学部社会科教室を中心とする調査研究 272
4.教育学部附属中・高校国語科の試み 273
5.教育学部附属小学校の『子どもと父母と教師が書いた、原爆の記憶』3部作 273
6. 平和教育の発展の中で 274
おわりに 276
原爆被災資料の問題をめぐって-広島大学と「披災資料センター」-(湯崎稔)279
1.はじめに 279
2.被災資料収集活動のはじまり 280
3.「原爆白書」運動の胎動 282
4.原爆被災白書運動と「資料センター」問題 281
5.学術会議と「資料センター」設置運動 291
6.「原爆被災学術資料セター」の発足 311
7.結びにかえて-今後の課題 312
あとがき 横田輝俊 314

 

 

原爆体験記読書会(198604~198703)

原爆体験記読書会
呼び掛け人:田原幻吉・宇吹暁
全11回(198604~198703)

原爆体験記研究会1986a

 

出席者
1 04 08 「絶後の記録」

参加者:大野・中川・豊永・宮道・舟橋・冨沢・春日・羽原・内田・宇吹・田原

2 05 13 参加者:中川・若林・江崎・豊永・宮道・冨沢・羽原・内田・渡辺・宇吹・田原
3 06 10 「原爆の子」。

参加者:大野・若林・江崎・豊永・宮道・舟橋・宇吹・田原

4 07 08 参加者:大野・中川・豊永・羽原・内田・宇吹・田原
5 09 09 「星は見ている」。

参加者:大野・若林・江崎・豊永・舟橋・宇吹

6 10 14 参加者:大野・若林・舟橋・内田・宇吹・田原
7 11 11 「天よりの声」。

参加者:中川・豊永・舟橋・内田・宇吹・田原

8 12 09 「もうひとつのヒロシマ」。

参加者:中川・若林・江崎・豊永・舟橋・羽原・内田・宇吹・田原

9 01 13 参加者:若林・江崎・舟橋・内田・渡辺・宇吹・田原
10 02 10 参加者:江崎・豊永・宮道・内田・宇吹・田原
11 03 10 参加者:大野・若林・豊永・宮道・舟橋・羽原・内田・島津・宇吹・田原

原爆資料の収集と保存を考える(今堀・山崎・田原)

原爆資料の収集と保存を考える(今堀・山崎・田原)

中国新聞連載

年月日
19680307(上) 今堀誠二
特質無視のウ報告 資料の不足で迫力欠く  原爆被災資料広島研究会への期待
19680308(中) 山崎与三郎(原爆資料保存会幹事)
原爆資料の重要性 体験と実証で平和を 年とともに困難さ増す
19680308(下) 田原伯(原爆文献研究家)
個人の体験からの発言 分類・整理が急務 独力で一万点を集める
tahara19680309
気違い扱いの十年
 10年余り前、それまでの務めをやめて、ただ原爆資料の収集に全生活を当てたので私は「原キチ」と呼ばれ、変り者扱いにされてきた。
現在約一万点の原爆資料を集めることができた。
資料不備な図書館
全国の古本屋捜し
整理・研究が日課
収集三原則と分類
これは田原氏の談話をまとめたものである。

 

原水爆時代(下)(ピカ研校訂作業)

『原水爆時代 現代史の証言(下)』(今堀誠二、三一書房、19600806)

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<以下未完>
崩れぬ平和をかえせ
あるブルジョアの一家
三吉の少年時代
原爆の日より
広島日鋼争議
平和大会と「われらの詩」
朝鮮戦争への抵抗
砲声下の原爆詩集
平和運動の組織化へ
美しい生涯と原爆症
生きている峠三吉
朝鮮戦争に抗して
1 原爆禁止運動の烽火
原爆は世界をゆるがす、歴史の暗転期1949年、公安条例の舞台裏、イールズ声明と原子戦準備、平和擁護広島大会、ヒロシマは原子兵器の廃棄を要求する、もえあがっていた市民の願い、婦人運動と原爆理解、青年運動と青年教師、歴史の重み、平和擁護東京大会も原爆禁止を要求、国際的評価について
2 ストックホルム・アピール、原爆戦争にうち勝つ
広島平和擁護委員会、牧師・教授も平和委へ、開戦前のSアピール、朝鮮戦争を企てた人、戦時下の言論統制、広島平和委の弱体化、大会を支えるもの、8・6大会の前哨戦、大会の記録、巧妙を極めた非合法集会、共産党の分裂と大会のありかた、平和擁護日本委員会、第三次大戦を防止した8・6大会、枯尾花戦争とトルーマンの原爆使用声明、ワルソー大会と世界平和評議会、平和運動、原爆使用を阻む、朝鮮戦争は天佑か、日本戦没学生記念会、立ち上がった青年団、Sアピール運動掉尾を飾る、立ち上れない労働者、労働者の意識構造、ある詩人のねがい、
3 流星光底長蛇を逸す
マスコミへの注文、国民運動の目標、全面講和運動、ベルリンアピールをめぐって、即時停戦が必要だったのに、マ元帥の解任、朝鮮停戦交渉の舞台裏、平和運動の良心と責任、レジスタンス、平和の闘士団、署名運動と組織強化、警官包囲下の8・6大会、平和戦線とは何か、平推の消長、単独講和と二挺拳銃の平和記念祭、踏まれてもけられても、情勢判断を誤った平和運動、
4 冬の旅を行く
人命は冷戦より尊い
1 原水協のうまれるまで
ビキニ事件、原水爆にたいする国民のいかり、杉並アピール、アピール運動の性格、全国協議会の結成、原水爆禁止運動広島協議会、8・6広島平和大会、広島大会の提案、署名運動の意義、日本原水協の成立、
2 輝かしい啓蒙-ヒロシマ大会
10年前と同じ時間に同じ場所で、鳩山首相の立場、アメリカ人の願い、平和を願うものと願わないもの、原爆被害者の生活と意見、アメリカ民衆との共同戦線、学者の役割、大衆のものとなった運動、禁止運動、救援運動に結びつく、基地問題と運動の進め方、歴史をになうもの、組織上での暗影、署名運動および大会の評価、
3 原水爆戦略との対決をめざして-ナガサキ大会
世界を動かす原爆禁止の声、参加した人々、国際連帯の花の輪、危機は去らない、沖縄は日本を制圧するための基地でもある、渡辺千恵子氏の発言、被爆者のなやみと喜び、原子力の平和利用、運動のすすめ方、
4 フォールアウトとロケット基地にいどむアジア民族主義-第三回大会
地方での大会風景、国際的な予備討議、世界の期待をあつめて、演説のかずかず、失敗した議事運営、政治ととりくむ禁止運動、大会運営の問題点、高い指導と全国民の参加を、原水協の苦悩、歴史のうねり、
5 東西の兵力引離しと日本の非核武装化のために-第四回大会
総選挙に敗れた原水協、ICBMは世界を変えた、欧米の運動NATOをゆるがす、核武装と国民の批判、核武装した自衛隊と米軍基地、国民生活の圧迫と被爆者の援護、日本人はアジアを見損なっている、運動の進め方の評価と反省、国際会議は成功したか、政治目標を明示した宣言と決議、原水協の強化と世界の命運、
6 東西融和の促進と安保改訂-第五回大会
原水爆時代のマニュフェスト、大衆は平和行進と大会を支持した、自民党と右翼のおもわく、大会内部の右翼的偏向、大会における左翼的偏向、東西融和の具体策を欠く、
7 世界大会への批判と妨害と謀略-一部外国代表の思想と行動
ヤング卿らの脱退劇、理由は無理に作られた、ものにならなかったスクープ、第三回大会の妨害者、第四回大会の妨害はなぜおこったか、第五回大会の工作者と同調者、大会と朝鮮人
新紀元は始まる
 一発で地球を全滅させる爆弾、戦争の準備をはじめた平和産業、日本と沖縄の核武装はすすむ、安保条約は朝鮮戦争の落とし子、新安保はアメリカの要求、新安保に託する岸・藤山の夢、アジアは新安保に反対する、頂上会談はなぜ流れたか、新安保の国会採決は冷戦激化の謀略、冷戦を終らせる道、ヒロシマの十字架から新紀元は始まる
  あとがき
上巻は庶民の動きを中心として叙述を進めた。
下巻もそのつもりで草稿をまとめ、朝鮮戦争以後における原爆被災者・青少年・婦人・学者・ジャーナリスト・芸術家(美術・文学・演劇)・労働者・農民・漁民などが、どんな役割を果たしてきたかをあとづけるつもりだった。
運動の発展をみつめるとともに、それを妨げる社会の壁を、写し出すことが、ねらいとなっていた。
 しかし、安保問題の発展につれて、この計画は根本的に変更せねばならなくなった原水爆禁止運動は、国際政治の変転につれて、重大な段階にさしかかり、国内政治の面でも、高度の政治性を帯びるに至ったので、庶民の動きという間接描写の方法では、焦眉の問題に焦点を合せることが、出来なくなってしまった。
今からの一、二年間は、原水爆時代を終らせるチャンスであるとともに、原水爆戦争のピンチともいえる。
本書が政治技術を中心として、運動の展開をあとづけることにしたのは、正しい政治路線の発見に、ささやかながらも資料を提供したいと考えたからである。

 

原水爆時代(上)(ピカ研校訂作業)

『原水爆時代 現代史の証言(上)』(今堀誠二、三一書房、19590721)

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以下未完
 登場人物  備考
ピカドンに死なず
幽鬼の町ヒロシマ
今堀誠二 山口県の西北海岸、一兵士。
古賀八重子
少国民の最後
「菩提樹」をうたう少女
敗戦を飾る犠牲者の美
世界の良心は告発する
ピカドンに屈せず
古賀八重子=その後沖原氏と結婚。呉でしあわせな家庭。
占領軍に屈せず
1 第二の誕生
「生ましめん哉」
栗原氏と「中国文化」
栗原貞子、栗原唯一、猪熊弦一郎、細田民樹
プレスコード下の最初の刊行物
『中国文化』創刊号
ヒロシマは歴史の証人
2 ざんげの道
悲嘆の日記「さんげ」
トマトをめぐる母子の悲歌
守られた非合法出版物
死の商人のざんげ
地球を動かす支点
警告ビラは回収された
3 無欲の顔
村にきたジープ
原爆について語るな
作家の眼がとらえた「屍の街」
無欲顔貌
人間の精神はボロになった
平和をかえして下さい
いまだ癒えぬ傷あと
4 原爆エレジー
原子野に咲いた「夏の花」
壊された詩碑
忘れかけたあの日の記憶
「長崎の鐘」
原爆エレジーの流行
5 よみがえった記録映画
映像になった記録
占領軍の撮影禁止
生きていたプリント
公開された被爆写真
6 科学者の道
廃墟に芽ばえた国民の科学
災害調査はじまる
奇病の発生第二期症状
病理へ振るうメス
全滅した劇団「桜隊」
都築氏の活躍
世界最初の原爆症講演会
原爆症救護病院
山津波にのまれた京大班
災害調査研究特別委員会
きびしい原爆の秘密保持
撤去された研究施設
原爆はGHQのタブー
終戦の日に始った原爆戦争の準備
恐るべき後遺症
原爆症とは何か
被爆者はABCCのモルモットか
原爆禁止は科学者の道
ノー・モア・ヒロシマ
1 原爆は戦争ではない
広島に向った青い眼の記者
死臭と敵意の中で
ヒロシマからの報告
人類よ!広島をくり返すな
原爆患者の存在を抹殺
勝利した官製ニュース
二つの原爆処理方式
科学者の「十字軍」
2 人道主義と反戦主義
全米を震撼させた実話小説
「ヒロシマ」の主人公たち
人道主義の原爆否定
同情はごめんだ
アメリカの盲点
世界連邦主義
ピース・センターと精神養子
原爆乙女の厚生
憤激をかったルーズベルト夫人
原爆乙女は立証する
3 平和祭
広島平和復興祭
46・7年の世界の動き
マ元帥の教書と「平和宣言」
原爆をとりあげたアメリカの新聞
8・6をカーニバルにするな
世界でもたれたヒロシマ・デー
貧弱だった「原爆否定の研究室」
平和こそ女性の幸福の源
原爆外交と広島の復興
大衆から浮いた平和祭
4  偏見を乗り越えて
東洋にかけるアメリカの橋
クエーカーの絶対平和主義
シュモー氏の「広島の家」
私は共犯の屈辱を抱いてここに立つ
神よ平和を来らし給え
むずかしい平和住宅の運営
ブ夫人の公民館
平和運動を離れた「広島の家」
平和精神をうらづけるものは何か
シュ氏のピントの甘さ
ブ夫人への一票は原爆防止の一票
過ちは繰返しませぬ
殴殺されたアメリカ兵
恩讐を越えた供養塔
原爆で死んだ異国の人
安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから
あとがき

 

 

原水爆時代(下)

『原水爆時代 現代史の証言(下)』(今堀誠二、三一書房、19600806)

崩れぬ平和をかえせ
あるブルジョアの一家
三吉の少年時代
原爆の日より
広島日鋼争議
平和大会と「われらの詩」
朝鮮戦争への抵抗
砲声下の原爆詩集
平和運動の組織化へ
美しい生涯と原爆症
生きている峠三吉
朝鮮戦争に抗して
1 原爆禁止運動の烽火
原爆は世界をゆるがす、歴史の暗転期1949年、公安条例の舞台裏、イールズ声明と原子戦準備、平和擁護広島大会、ヒロシマは原子兵器の廃棄を要求する、もえあがっていた市民の願い、婦人運動と原爆理解、青年運動と青年教師、歴史の重み、平和擁護東京大会も原爆禁止を要求、国際的評価について
2 ストックホルム・アピール、原爆戦争にうち勝つ
広島平和擁護委員会、牧師・教授も平和委へ、開戦前のSアピール、朝鮮戦争を企てた人、戦時下の言論統制、広島平和委の弱体化、大会を支えるもの、8・6大会の前哨戦、大会の記録、巧妙を極めた非合法集会、共産党の分裂と大会のありかた、平和擁護日本委員会、第三次大戦を防止した8・6大会、枯尾花戦争とトルーマンの原爆使用声明、ワルソー大会と世界平和評議会、平和運動、原爆使用を阻む、朝鮮戦争は天佑か、日本戦没学生記念会、立ち上がった青年団、Sアピール運動掉尾を飾る、立ち上れない労働者、労働者の意識構造、ある詩人のねがい、
3 流星光底長蛇を逸す
マスコミへの注文、国民運動の目標、全面講和運動、ベルリンアピールをめぐって、即時停戦が必要だったのに、マ元帥の解任、朝鮮停戦交渉の舞台裏、平和運動の良心と責任、レジスタンス、平和の闘士団、署名運動と組織強化、警官包囲下の8・6大会、平和戦線とは何か、平推の消長、単独講和と二挺拳銃の平和記念祭、踏まれてもけられても、情勢判断を誤った平和運動、
4 冬の旅を行く
人命は冷戦より尊い
1 原水協のうまれるまで
ビキニ事件、原水爆にたいする国民のいかり、杉並アピール、アピール運動の性格、全国協議会の結成、原水爆禁止運動広島協議会、8・6広島平和大会、広島大会の提案、署名運動の意義、日本原水協の成立、
2 輝かしい啓蒙-ヒロシマ大会
10年前と同じ時間に同じ場所で、鳩山首相の立場、アメリカ人の願い、平和を願うものと願わないもの、原爆被害者の生活と意見、アメリカ民衆との共同戦線、学者の役割、大衆のものとなった運動、禁止運動、救援運動に結びつく、基地問題と運動の進め方、歴史をになうもの、組織上での暗影、署名運動および大会の評価、
3 原水爆戦略との対決をめざして-ナガサキ大会
世界を動かす原爆禁止の声、参加した人々、国際連帯の花の輪、危機は去らない、沖縄は日本を制圧するための基地でもある、渡辺千恵子氏の発言、被爆者のなやみと喜び、原子力の平和利用、運動のすすめ方、
4 フォールアウトとロケット基地にいどむアジア民族主義-第三回大会
地方での大会風景、国際的な予備討議、世界の期待をあつめて、演説のかずかず、失敗した議事運営、政治ととりくむ禁止運動、大会運営の問題点、高い指導と全国民の参加を、原水協の苦悩、歴史のうねり、
5 東西の兵力引離しと日本の非核武装化のために-第四回大会
総選挙に敗れた原水協、ICBMは世界を変えた、欧米の運動NATOをゆるがす、核武装と国民の批判、核武装した自衛隊と米軍基地、国民生活の圧迫と被爆者の援護、日本人はアジアを見損なっている、運動の進め方の評価と反省、国際会議は成功したか、政治目標を明示した宣言と決議、原水協の強化と世界の命運、
6 東西融和の促進と安保改訂-第五回大会
原水爆時代のマニュフェスト、大衆は平和行進と大会を支持した、自民党と右翼のおもわく、大会内部の右翼的偏向、大会における左翼的偏向、東西融和の具体策を欠く、
7 世界大会への批判と妨害と謀略-一部外国代表の思想と行動
ヤング卿らの脱退劇、理由は無理に作られた、ものにならなかったスクープ、第三回大会の妨害者、第四回大会の妨害はなぜおこったか、第五回大会の工作者と同調者、大会と朝鮮人
新紀元は始まる
 一発で地球を全滅させる爆弾、戦争の準備をはじめた平和産業、日本と沖縄の核武装はすすむ、安保条約は朝鮮戦争の落とし子、新安保はアメリカの要求、新安保に託する岸・藤山の夢、アジアは新安保に反対する、頂上会談はなぜ流れたか、新安保の国会採決は冷戦激化の謀略、冷戦を終らせる道、ヒロシマの十字架から新紀元は始まる
  あとがき
上巻は庶民の動きを中心として叙述を進めた。
下巻もそのつもりで草稿をまとめ、朝鮮戦争以後における原爆被災者・青少年・婦人・学者・ジャーナリスト・芸術家(美術・文学・演劇)・労働者・農民・漁民などが、どんな役割を果たしてきたかをあとづけるつもりだった。
運動の発展をみつめるとともに、それを妨げる社会の壁を、写し出すことが、ねらいとなっていた。
 しかし、安保問題の発展につれて、この計画は根本的に変更せねばならなくなった原水爆禁止運動は、国際政治の変転につれて、重大な段階にさしかかり、国内政治の面でも、高度の政治性を帯びるに至ったので、庶民の動きという間接描写の方法では、焦眉の問題に焦点を合せることが、出来なくなってしまった。
今からの一、二年間は、原水爆時代を終らせるチャンスであるとともに、原水爆戦争のピンチともいえる。
本書が政治技術を中心として、運動の展開をあとづけることにしたのは、正しい政治路線の発見に、ささやかながらも資料を提供したいと考えたからである。

 

原水爆時代(上)

『原水爆時代 現代史の証言(上)』(今堀誠二、三一書房、19590721)

 登場人物  備考
ピカドンに死なず
幽鬼の町ヒロシマ
今堀誠二 山口県の西北海岸、一兵士。
古賀八重子
少国民の最後
「菩提樹」をうたう少女
敗戦を飾る犠牲者の美
世界の良心は告発する
ピカドンに屈せず
古賀八重子=その後沖原氏と結婚。呉でしあわせな家庭。
占領軍に屈せず
1 第二の誕生
「生ましめん哉」
栗原氏と「中国文化」
栗原貞子、栗原唯一、猪熊弦一郎、細田民樹
プレスコード下の最初の刊行物
『中国文化』創刊号
ヒロシマは歴史の証人
2 ざんげの道
悲嘆の日記「さんげ」
トマトをめぐる母子の悲歌
守られた非合法出版物
死の商人のざんげ
地球を動かす支点
警告ビラは回収された
3 無欲の顔
村にきたジープ
原爆について語るな
作家の眼がとらえた「屍の街」
無欲顔貌
人間の精神はボロになった
平和をかえして下さい
いまだ癒えぬ傷あと
4 原爆エレジー
原子野に咲いた「夏の花」
壊された詩碑
忘れかけたあの日の記憶
「長崎の鐘」
原爆エレジーの流行
5 よみがえった記録映画
映像になった記録
占領軍の撮影禁止
生きていたプリント
公開された被爆写真
6 科学者の道
廃墟に芽ばえた国民の科学
災害調査はじまる
奇病の発生第二期症状
病理へ振るうメス
全滅した劇団「桜隊」
都築氏の活躍
世界最初の原爆症講演会
原爆症救護病院
山津波にのまれた京大班
災害調査研究特別委員会
きびしい原爆の秘密保持
撤去された研究施設
原爆はGHQのタブー
終戦の日に始った原爆戦争の準備
恐るべき後遺症
原爆症とは何か
被爆者はABCCのモルモットか
原爆禁止は科学者の道
ノー・モア・ヒロシマ
1 原爆は戦争ではない
広島に向った青い眼の記者
死臭と敵意の中で
ヒロシマからの報告
人類よ!広島をくり返すな
原爆患者の存在を抹殺
勝利した官製ニュース
二つの原爆処理方式
科学者の「十字軍」
2 人道主義と反戦主義
全米を震撼させた実話小説
「ヒロシマ」の主人公たち
人道主義の原爆否定
同情はごめんだ
アメリカの盲点
世界連邦主義
ピース・センターと精神養子
原爆乙女の厚生
憤激をかったルーズベルト夫人
原爆乙女は立証する
3 平和祭
広島平和復興祭
46・7年の世界の動き
マ元帥の教書と「平和宣言」
原爆をとりあげたアメリカの新聞
8・6をカーニバルにするな
世界でもたれたヒロシマ・デー
貧弱だった「原爆否定の研究室」
平和こそ女性の幸福の源
原爆外交と広島の復興
大衆から浮いた平和祭
4  偏見を乗り越えて
東洋にかけるアメリカの橋
クエーカーの絶対平和主義
シュモー氏の「広島の家」
私は共犯の屈辱を抱いてここに立つ
神よ平和を来らし給え
むずかしい平和住宅の運営
ブ夫人の公民館
平和運動を離れた「広島の家」
平和精神をうらづけるものは何か
シュ氏のピントの甘さ
ブ夫人への一票は原爆防止の一票
過ちは繰返しませぬ
殴殺されたアメリカ兵
恩讐を越えた供養塔
原爆で死んだ異国の人
安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから
あとがき