原爆被爆者の健康管理及び医療を促進するための対策に関する陳情書(1958年)

原爆被爆者の健康管理及び医療を
促進するための対策に関する陳情書

1958年8月30日

 原子爆弾被爆者の医療等に関する法律が施行せられてから一年有余を経過いたしましたが、その間の実施状況では、被爆者特有の各種の事情が在在し、私共の努力にもかかわらずその運用は必ずしも充分とはいえません。

しかしながら、被爆者の健康状態は、本年六月までに精密検査を必要とされているもの約六千人、治療をうけているものは約九百人もあり、この事実はまことに重大事でありまして、今後ますますこの法律の使命の重要性を痛感するものであります。

つきましては、右事情を御賢察の上、特に左記各項目について速かに法の適用拡大を図られ被爆者の健康管理の目的が達成せられるよう格別の御配慮を賜わりたく、切に懇願する次第であります。

一 検査を促進するため機動性のある検査車を設けること

二 健康管理の完全を期するため栄養物の補給をすること

三 医療範囲の拡大と認定手続の簡素化を図ること

四 原爆症の根本的治療方法を研究するため現地に原爆医療研究機関を設置すること

昭和三十三年八月三十日

広島市長 渡辺 忠雄

広島市議会議長 仁都栗 司 殿