森滝市郎日本被団協理事長「経過報告ならびに連絡事項」(19650406)<作業中>
一九六五・四・六 経過報告ならびに連絡事項 日本被団協理事長 森滝 市郎 各会 各代表理 殿 |
1.被爆者実態調査について 厚生省では当初の予定を再度変更し、実態調査の時期を十一月一日としています。また健康、生活両面の調査についても、全数か抽出かについてもまだ確定的な線が出ていません。したがって厚生省原案について、関係者の意見をきくのも当初のテンポよりは遅れてくると思います。 日本被団協としては、森滝理事長の若松公衆衛生局長に対する申入れの後、同封の要望書を、関係国会議員および厚生省に送りました。 今緊急に必要なことは、被爆者実態調査について世論を喚起し、それを背景にして厚生省の方針を改善させることであります。 そのために二月二八日の代表理事会決定のうち、①困窮被爆者の実態報告活動、②モデルケースの自主的調査が必要ですが、とくに①については先便の形式によって、至急とり組んで下さい。 これを集約してジャーナリズム対策および厚生省対策の資料とします。 |
2.被爆体験資料蒐集について |
2.被爆体験資料蒐集について 代表理事会決定にもとずき、文学者、知識人を主体とする協力委員会の結成に努力してきましたが、さる四月二日東京学士会館で会合をもち次のような運びまでこぎつげました。 ① 同封の文書によって、文学者、知識人の協力委員会結成の呼びかけ人となる方をお願いしてきましたが、現在まで左記の方々が呼ひかけ人となることを承諾して下さいました。 作 家 阿部知二、井上光晴、大江健三郎、開高健、芹沢光冶良、堀田善衛、木下順二(交渉中) 学 者 学習院大講師久野収、東大教授坂本義和、同日高六郎、法政大助教授藤田省三 評論家 岩波書店編集長吉野源三郎 広 島 市長浜井信三、広島大文学部長小川二郎、中国新聞論説委員金井利博 長 崎 交渉中 ②呼びかけ状は大江健三郎氏が執筆する。 ③協力委員会は五月中旬に発足する ④八月には中間報告を行う。 各会ではこの事業の意義を徹底され、会員の手記募集、資料提供および所在の報告に御協力下さい。被爆後二十年にして、改めて被爆の実相を回顧し、国民的に検討することは、原水爆禁止と被爆者救援-援護法制定へ向っての重大な意義を担う活動であることを御勘案の上、活発な活動をお願い致します。 |
原爆被災体験資料蒐集と出版の計画要綱 |
(一)資料蒐集一.対象 1.被爆体験から生まれた小説・詩・短歌・俳句等の文学作品の刊行物一切 2.医学・物理学・社会科学的な研究論文や刊行物 3.被爆者のサークル活動で生まれた文集や同人誌 4.各地方被爆者の会で出した文集や機関紙誌、調査資料 5.被爆孤児の精神養子の親子の間の往復書簡 6.個人の手記や日記 7.その他 二、蒐集 1.以上について目録を完備する 2.そのうち必要なものについては所有者名簿をつくる 3.できる限り現物を集める 4.現物を入手できないもののうち、必要なものについては写しをとる 5.焼失、紛失等の恐れのない場所に保管する 三、方法 1.日本原水爆被害者団体協議会の中央地方組織を通して行う、とくに日本被団協では、被爆二十周年の現時点から、被爆後の生活を回顧斗した、会員の手記を募る 2.全国的規模で、学者・文学者・知識人を中心とする「協力委員会」(仮称)をつくっていただく。協力委員会は各界への協力よびかけ、日本被団協の募金よびかけの口ぞえその他日本被団協への援助と助言を行う。協力委員会は五月中旬に発足する。 3.広島と長崎には特別体制をつくる。 4.中国新聞、長崎新聞、出版社等の適当な団体、機関の後援を得る。 5.八月までに事業進行の中間報告を行う。 |
(二)出版 以上蒐集した資料について、日本被団協および「協力委員会」で出版の問題を検討する。 |
昭和四十年三月 日本原水爆被害者団体協議会 広島市大手町八-五九 広島平和会館内 電話 広島四一-七二二六、六六○○ 東京連絡所 新宿区戸塚町二-七二三 和田陽一方 |
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