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GHQの言論指令「言論及び新聞の自由」(1945.9.10)

GHQの言論指令「言論及び新聞の自由」

1945.9.10

言論及ビ新聞ノ自由

SCAPIN16

昭和20年9月10日

1、日本帝国政府ハ新聞、ラジオ放送又ハ其ノ他ノ出版物等ニ依リ、真実ニ符合セズ若ハ公安ヲ害スルニュースヲ頒布セザルヤウ必要ナル命令ヲ発スヘシ。

2、聯合国司令官ハ言論ノ自由ニ関シテハ最少限度ノ制限ヲ為スベキ旨ヲ命ジタリ、日本ノ将来ニ関スル事項ノ討論ノ自由ハ日本ガ敗戦ヨリ世界ノ平和愛好国家ノ仲間入リスル資格ヲ有スル新ナル国家トシテ出発セントスル日本ノ努カニ有害ナラザル限リ聯合国ニヨリ励奨セラル。

3、公式ニ発表セラレザル聯合国軍隊ノ動静、聯合国ニ対スル虚偽又ハ破壊的批評及ピ風説ハ之ヲ論議スルコトヲ得ズ。

4、当分ノ内ラジ才放送ハ主トシテニュース及音楽的娯楽的性質ノモノヲ取扱フペシ、ニュース、解説及ピ情報的放送ハ東京放送局ヨリ放送サレルモノニ限ル。

5、最高司令官ハ真実ニ符合セズ又ハ公安ヲ害スルガ如キ報道ヲ為ス出版物若ハ放送局ニ対シテハ発行禁止又ハ業務停止ヲ命ズ。

 

GENERAL HEADQUARTERS SUPREME COMMANDER FOR THE ALLIED POWERS

APO 500

(SCAPIN-16)

10 September 1945

MEMORANDUM FOR :IMPERIAL JAPANESE GOVERNMENT

THROUGH: Central Liaison Office,Tokyo

SUBJECT : Freedom of Speech and press.

1.The Japanese Imperial Government will issue the necessary orders to prevent dissemination of news, through newspapers, radio broadcasting or other means of publication,which fails to adhere to the truth or which disturbs public tranquillity.

2.The supreme Commander for the Allied powers has decreed that there shall be an absolute minimum of retrictions upon freedom of discussion of matters affection the future of Japan is encouraged by the Allied Powers,unless such discussion is harmful to the efforts of Japan to emerge from defeat as a new nation entitled to a place among the peace-loving nations of the world.

3.Subjects which cannot be discussed include Allied troop movements which have not been officially released, false or destructive criticism of the Allied powers,and rumors.

4.For the time being,radio broadcasts will be primarily of a news, musical and entertainment nature. News, commentation and informational broad- casts will be limited to those originating at Radio Tokyo Studios.

5.The Supreme Commander will suspend any publication or radio station which publishes information that fails to adhere to the truth or disturbs public tranquility.

FOR THE SUPREME COMMANDER:

HAROLD FAIR Lt.col.A.G.D., Asst Adjutant General

外国記者の現地被害報道(1945.8.31~9.10)

外国記者の現地被害報道(1945.8.31~9.10)

1945.8.31 THE NEW YORK TIMES HIROSHIMA GONE, NEWSMAN FINDS
1945.9.4 THE NEW YORK TIMES American Visits Hiroshima Ruins
1945.9.4 THE CHRISTIAN SCIENCE MONITOR AP HIROSHIMA, Sept. 4 by Vern Haugland Hiroshima : Once Modern City Now Flattened Pile of Rubble
1945.9.5 DAILY EXPRESS HIROSHIMA, Tuesday by Express Staff Reporter PETER BURCHETT 30th DAY in Hiroshima : Those who escaped begin to die, victims of THE ATOMIC PLAGUE ‘I write this as a warning to the world’ DOCTORS FALL AS THEY WORK Poison gas fear : All wear masks
1945.9.5 THE NEW YORK TIMES Visit to Hiroshima Proves It World’s Most-Damaged City Four Square Miles Leveled by the Atomic bomb People Reported Dying at Rate of 100 a Day-Hate for Us Shown
1945.9.10 THE NEW YORK TIMES NAGASAKI, Sept. 9 by W. H. LAWRENCE ATOM BOMB KILLED NAGASAKI CAPTIVES 8 Allied Prisoners Victims – Survivor Doubts After-Effect – 2d Blow More Powerfull
1945.9.10 THE CHRISTIAN SCIENCE MONITOR AP NAGASAKI, Sept. 10 Nagasaki’s Business Area Turned to Rubble by A-Bomb

戦争終結ニ関スル詔書案(1945年8月14日)

戦争終結ニ関スル詔書案

1945年8月14日

終戦詔書

朕深ク世界ノ大勢ト帝国ノ現状トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ収拾セムト欲シ茲二忠良ナル爾臣民二告ク

朕ハ帝国政府ヲシテ米英支蘇四国ニ対シ其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ

抑々帝国臣民ノ康寧ヲ図リ万邦共栄ノ楽ヲ偕ニスルハ皇祖皇宗ノ遺範ニシテ朕ノ拳々措カサル所曩ニ米英二国二宣戦セル所以モ亦実二帝国ノ自存ト東亜ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ他国ノ主権ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス

然ルニ交戦己二四歳ヲ閲シ朕カ陸海将兵ノ勇戦朕カ百僚有司ノ励精朕カ一億衆庶ノ奉公各々最善ヲ尽セルニ拘ラス戦局必スシモ好転セス世界ノ大勢亦我ニ利アラス

加之敵ハ新ニ残虐ナル爆弾ヲ使用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ惨害ノ及フ所真ニ測ルヘカラサルニ至ル而モ尚交戦ヲ継続セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招来スルノミナラス延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ

斯ノ如クムハ朕何ヲ以テカ憶兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神霊ニ謝セムヤ是レ朕カ帝国政府ヲシテ共同宣言二応セシムルニ至レル所以ナリ

朕ハ帝国ト共ニ終始東亜ノ解放二協カセル諸盟邦二対シ遣憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス帝国臣民ニシテ戦陣二死シ職域二殉シ非命二斃レタル者及其ノ遺族二想ヲ致セハ五内為二裂ク

且戦傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生二至リテハ朕ノ深ク珍念スル所ナリ

惟フニ今後帝国ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋常ニアラス爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル

然レトモ朕ハ時運ノ趨ク所堪へ難キヲ堪へ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ万世ノ為二太平ヲ開カムト欲ス

朕ハ茲二国体ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民ノ赤誠二信倚シ常二爾臣民ト共二在リ

若シ夫レ情ノ激スル所濫二事端ヲ滋クシ或ハ同胞 排擠互二時局ヲ乱リ為二大道ヲ誤リ信義ヲ世界二失フカ如キハ朕ノ最モ之ヲ戒ム

宜シク挙国一家子孫相伝へ確ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道遠キヲ念ヒ総カヲ将来ノ建設二傾ケ道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓ツテ国体ノ清華ヲ発揚シ世界進運二後レサラムコトヲ期スヘシ

爾臣民夫レ克ク朕カ意ヲ体セヨ

御名御璽

昭和二十年八月十四日

各国務大臣副署

 

 

 

米機の新型爆弾攻撃に対する日本政府の抗議文(1945年8月10日)

米機の新型爆弾攻撃に対する日本政府の抗議文

1945(昭和20)年8月10日

 本月六日米国航空機は広島市の市街地区に対し新型爆弾を投下し瞬時にして多数の市民を殺傷し、同市の大半を潰滅せしめたり。

 広島市は何ら特殊の軍事的防備乃至施設を施し居らざる普通の一地方都市にして、同市全体として一つの軍事目標たるの性質を有するものに非ず。

本件爆撃に関する声明において米国大統領「トルーマン」はわれら船渠工場および交通施設を破壊すべしと言ひをるも、本件爆撃は落下傘を付して投下せられ空中において炸裂し極めて広き範囲に破壊的効力を及ぼすものなるを以って、これによる攻撃の効果を右の如き特定目標に限定することは技術的に全然不可能なこと明瞭にして、右の如き本件爆撃の性能については米国側においてもすでに承知してをるところなり。

また実際の被害状況に徴するも被害地域は広範囲にわたり、右地域内にあるものは交戦者、非交戦者の別なく、また男女老幼を問はず、すべて爆風および輻射熱により無差別に殺傷せられその被害範囲の一般的にして、かつ甚大なるのみならず、個々の傷害状況よりみるも未だ見ざる惨虐なるものと言うべきなり。

抑々交戦者は害敵手段の選択につさ無制限の権利を有するものに非ざること、及び不必要の苦痛を与うべき兵器・投射物其の他の物質を使用すべからざることは戦時国際法の根本原則にして、それぞれ陸戦の法規慣例に関する条約付属書、陸戦の法規慣例に関する規則第二十二条、及び第二十三条(ホ)号に明定せらるるところなり。

米国政府は今次世界の戦乱勃発以来再三にわたり毒ガス乃至その他の非人道的戦争方法の使用は文明社会の与論により不法とせられをれりとし、相手国側において、まづこれを使用せざる限り、これを使用することなかるべき旨声明したるが、米国が今回使用したる本件爆弾は、その性能の無差別かつ惨虐性において、従来かゝる性能を有するが故に使用を禁止せられをる毒ガスその他の兵器を遥かに凌駕しをれり。

米国は国際法及ぴ人道の根本原則を無視して、すでに広範囲にわたり帝国の諸都市に対して無差別爆撃を実施し来り、多数の老幼婦女子を殺傷し、神社仏閣学校病院一般民家などを倒壊または焼失せしめたり。

而して今や新奇にして、かつ従来のいかなる兵器、投射物にも比し得ざる無差別性惨虐性を有する本件爆弾を使用せるは人類文化に対する新たなる罪状なり。

帝国政府は自らの名において、かつまた全人類および文明の名において、米国政府を糾弾すると共に、即時かかる非人道的兵器の使用を放棄すべきことを厳重に要求す。

 

日本政府の新型爆弾対策委員会(1945年8月10日)

日本政府の新型爆弾対策委員会

[国立公文書館蔵「公文類集第69編・巻10 昭和20年」所収]

閣甲第337号

[起案]昭和20年8月9日、[閣議決定]昭和20年8月10日

[内閣総理大臣などの署名略]

別紙新型爆弾対策委員会設置ノ件

右閣議ニ供ス

[極秘]

新型爆弾対策委員会設置ノ件

昭和20.8.9 閣議決定案

敵ノ新型爆弾使用ニ対処シ急速ニ之ガ対策ヲ立案審議セシムル為 左記ニ依リ新型爆弾対策委員会ヲ設置ス

一、本委員会ハ之ヲ内閣ニ置ク

二、本委員会ノ構成別紙ノ如シ

三、本委員会ハ主トシテ左ノ事項ヲ担任ス

(一)被害情報及戦訓ノ綜合整理

(二)防衛対策ノ樹立

(三)敵爆弾ノ性能、製造能力ノ判断

(四)国民指導方針ノ立案

四、本委員会ハ必要アル時ハ委員長ニ於テ部会ヲ設置スルコトヲ得

五、本委員会ノ庶務ハ綜合計画局ニ於テ之ヲ掌ル

備考

本委員会ヲ原委員会ト通称ス

(別紙)原委員会構成

委員長       綜合計画局長官

委員        綜合計画局戦災復興部長 技術院次長

情報局次長     外務省政務局長

内務省警保局長 防空総本部次長

大蔵省主計局長 陸軍省軍務局長

陸軍省兵務局長 海軍省軍務局長

厚生省勤労局長 農商省資材局長

軍需省整備局長 運輸省企画局長

備考

一、本表ノ外学識経験アル者等ヨリ委員ヲ委嘱スルコトアリ

二、必要アルトキハ委員長ニ於テ委員外ノ者ヲ出席セシムルコトヲ得

広島市爆撃問題に対する反響(1945年8月8日)

広島市爆撃問題に対する反響

1945年8月8日

[『旧陸海軍関係文書』内の「重要文書類綴 警視庁」所収]

[特機(極秘カ)]

昭和20年8月8日

広島市爆撃問題ニ対スル反響ニ就テ(第1報)

8月6日広島市ニ加ヘラレタル敵ノ新型爆弾攻撃ハ異常ナル反響ヲ示シ其ノ真相等ノ具体的発表ナキ為メ虚実交々憶説流言ヲ生ジツツアル状況ナルガ各界上層部ノ意向ヲ聴取スルニ其ノ真相明確ナラザルヲ以テ決定的意見等ハ見受ケラレザルモ大体ニ於テ

一.敵ノ新型爆弾ハ世界的ノ懸案タリシ原子爆弾タリシ原子爆弾ト認メラレ兵器ノ本質的革命ヲ斉ラセルモノニシテ戦争ノ様相ヲ一変セシムルニ足ル底ノモノタルハ勿論之ヲ作戦面ニ使用シ得タ国ガ世界ヲ制スルコトトナルトサヘ考ヘラレタモノデアル引続キ之ガ使用セラルルニ於テハ全ク戦争ハ出来ナクナル虞レガアル

一.其ノ威力等ニ就テハ未ダ真相不明ナルモ、継続シテ攻撃シ得ル状態トナラバ、吾兵力ノ集団地帯部隊ノ攻撃ニ依リ何千何万ノ兵カヲ消耗スルコトヽナルベク、如何ニ精神的ナ強ガリヲ言ツテ見テモ手モ足モ出ナイ事ニナルハ必然デアリ、戦局ハ愈々重大ナル段階ニ突入セリ

一.中小都市爆撃ニ依リ更ニ食糧事情等二依リ民心ノ不安動揺ハ覆フベクモ無イ事実デアルガ、加フルニ広島ノ大空爆ニ依リ民心ハ一層敗戦的厭戦気分二襲ハレ、人ノ力ヲ以テハ如何トモ為シ難イ重大ナ動向ヲ辿ル虞レガアル。当局者ノ最モ有能達識ヲ以テスル指導対策ヲ要望シテ止マヌ

一.嘗テ軍モ政府モ必勝ノ成算アリト国民二約束シテ居タガ、広島ノ問題デ総テ新局面ニ入ツタ感ガアル。軍モ政府モ決意ヲ新タニシテ出直ス可キ秋ガ来夕。サモ無クバ戦争ハ不可能トナル

一.戦争ガ今日ノ段階ニ立至ルコトハ当局ハ勿論吾吾ハ覚悟ヲシテ居タ。今更ラ何ヲ慌テルコトガアルカ。軍ハ急速二対策ヲ樹テ不退転ノ信念二基イテ戦争ヲ遂行シ、国民ハ軍ノ作戦ヲ信頼スルヨリ他ニ方策ハ無イ

等々ナルガ本日ノ大日本政治会ニ於ケル定例衆議院部会政調役員会等ニ在リテモ話題ハ概ネ広島事件ヲ以テ持切リノ形ニシテ大体ノ空気ハ従来ノ戦争指導ハ所謂軍官ノ専断ニ依ッタガ今日ノ段階ニ於テハ国民ノ意思 即チ議会ノ意思ヲモ尊重スルガ如キ軍官ノ新タナル覚悟ヲ必要トスベシ等々ニシテ表面極メテ強ガリヲ表示シ居レルモ内心広島爆撃事件ニ対シテハ極度ニ恐怖心ヲ昂メ相当神経過敏ノ様相ヲ露呈カ居レル情況ナルガ各界等一部ノ意向別記ノ通ナリ

貴族員議員 河西置太郎

政府ハ国民ノ戦意昂揚揚二就テハ色々ト対策ヲ講ジツツアル様ダガ幾ラ対策ヲ練ツテモ掛声丈デハ駄目ダ。要ハ今少シ国民二知ラシメテ納得サセ、然シテ政府ト国民トガー体トナリ相協力シテ戦意ノ昂揚ヲ計ルコトガ最モ必要ダト思フ。

大本営ハ今朝ノ新聞「ラヂオ」デ敵米ノ新型爆弾二就テ発表シタガ、只斯ル新兵器ヲ使用スルカラ充分ナ警戒ヲシロト言フ丈デ、何ウ云フ風二警戒ヲシタナラバ最モ効果的ナノカ、新型爆弾ガ如何ナル性能ヲ特ツテ居ルモノカニ就テハ、目下考究中ナド、云フ発表ヲシテ居ルガ、之デハ国民ノ不安ラー層駆リ立テルモノデアリ、従来トテ斯ル発表ヲシタモノデ後日具体的ナ発表ヲシタモノハ極ク一部分ノモノ丈ケデ、大部分ノモノハ其ノ儘「ウニヤムニヤ」ニナツテ仕舞ツテ居ル。斯ルコトノナイ様特二当局者二要望シタイ。

代議士 田中武雄

広島二便用セシ敵新爆弾出現ニヨリテ戦争指導上劃期的ナ変革ヲ必要トスルニ至ツタ。

故二日政トシテハ遠カニ政府並二陸海軍当局ノ新タナル方策ヲ聞キ、国民ヲシテ新タナル信念ノ下二挺身セシムベキデアルトノ見地カラ、総裁ヨリ当路者ノ所信ヲ質ダスコトトナルタ。

代議士 勝田永吉

広島二於ケル被害状況二付テハ未ダ詳報二接セザルモ相当甚大ニシテ、現状ヲ以テシテハ戦争遂行不可能ナリトノ感ヲ抱カシメル至り、愈々攻府ハ重大ナル決意ヲ要スル段階ニ入ツタ。

此ノ際我方トシテハ遠カニ新爆弾ノ正体ヲ究メテ其ノ対策ヲ確立シ、以テ国民ノ不安ヲ解消シ更ラニ必勝ノ体制ヲ強化スル外ナイ。

陸軍大将 真崎甚三郎

今回広島市ニ対スル敵B29ノ投下爆弾ガ其ノ損害程度ノ大キイ点カラ見テ間違ヒナク原子爆弾デアル事ガ想像サレル。

原子爆弾ガドノ位ノ威力ノアルモノカハ科学知識二疎イ我々ニハ解ラナイノデ、科学者ノ話ヲ聞カヌト其ノ対策ニ就テハ何トモ言ヘナイガ、広島ノ例カラ見テ之ハ容易ナラザル事態ニ逢着シ大変ナコトニナツタト考ヘテ居ル。之ガ爆弾ヲ以テ我ガ全国ニバラ撒カレタトシタラ一体ドウナル。此ノ事ハ今後当然起ツテ来ル事ヲ覚悟シナケレバナラヌガ、彼等ガ軍隊ノ密集シテ居ル各部隊施設ニ此ノ爆弾ヲ投下スレバ、一瞬ニシテ幾万ノ将兵ガ殺傷サレルコトニナル。ソウナツタラ口先丈ケデハ如何ニ強ガリヲ言ツテ見タ所デ戦争ヲ持続シテ行クコトハ絶対二出来ナクナル。

広島ニ於ケル今度ノ損害ハ此ノ爆弾ノ性能ノ研究ガ終ルト同時ニ之ガ真相ヲ発表シ、之ニ対スル対策ヲ講ズベキデアル。グヅグヅシテ居テハ間二合ハヌ。

陸軍中将 建川美次

兎ニ角大変ナコトニナツテ来タ。日本モ遂ニ重大ナ段階ニ当面シテシマツタ。広島ニ敵B29ガ投下シタ爆弾ハ其ノ被害ノ甚大ナル点カラ推シテ、恐ラク原子爆弾ヲ使用シタモノト思ハレル。

畑総軍司令官ハ旅行中ナル為メ命拾ヒヲシタラシイガ、中部軍ノ将校達ヤ総監府、県庁ノ役人達ハ殆ンド全滅ノ状態ラシイ。四十方近クノ市民モ半数以上ハ犠牲ニナツタモノト思ハレル。

民家ノ防空壕ハ少シモ役ニ立タナカツタ様デアルガ、原子爆弾ナラバ当然ノコトデアラウ。

此ノ原子爆弾ハ各国共熱心ナ研究ガ進メラレテ居タノデアルガ、何レモ完成ノ域二達シ得ナカツタモノデ、之サへ完成サレタラバ戦争ガドンナニ敗ケテ居テモ問題デハナイ。独逸ノ敗退前早ク原子爆弾ヲ使ツテ呉レレバ良イガト夢ニモ頼ツタノデアルガ、遂ニ完成サレズニ崩壊シタ。広島へハ直チニ軍官ノ専門家ガ調査ニ向ツタ筈デアルカラ、原子爆弾カドウカ判明スルコトト思フガ、若シ自分ノ予想通リダトスレバ最早ヤ戦争ニハナラナイノデハナイカト思ハレル。

トルーマントアトリーハ昨日同時ニ米空軍ガ特殊爆弾ヲ使用シタ旨ヲ発表シタ模様デアルガ、其ノ後昨日モ今日モB29ノ本土来襲ガ無イ所ヲ見レバ、日本ノ出方ヲ見守ツテ居ルノデハナカラウカ。

政府ハ昨日ノ閣議後重大ナ協議ヲ行ツタ様ダガ一体ドウシヤウトスルノデアラウカ。原子爆弾ヲ先二完成シタ国ガ世界ヲ制スルト言ハレテ来タガ事実其ノ通リデアルト思フ。此ノ爆弾ハ相手国ガ使用スル心配ガナイノデ仮令人道二反スルナドト非難サレテモ相手国ガ手ヲ挙ゲル迄攻撃ヲ続ケルデアラウ。

自分ハ決シテ反戦論ヲ好ムモノデハナイガ、残念乍ラ敵側ニ偉大ナ科学兵器ガ完成サレタ以上、之ニ対抗スベキ方策ガ無イトスレバ軍部ダケニ委セテ置ガズニ政府ハ慎重ニ考慮スル必要ガアルト思フ。

陸軍中将 谷寿夫

実ニ困ッタコトニナッタ。一昨日敵機ニ依ッテ広島市ニ投下サレタ爆弾ハ其ノ被害ノ甚大ナル所カラ見テ明ニ原子爆弾デアルコトニ間違ヒナイ。彼等ガ此ノ爆弾ヲ使用シ始メタ以上、我ガ方トシテハ之ガ対策ノ具体案ヲ練リ国民ニ対シ早急ニ徹底セシムルコトガ今後我ガ人畜ノ損害ヲ最小限度ニ喰イ止メル道デアル。

従来国ハ今後特ニ此ノ爆弾投下ニ力ヲ注グ事ト思ハレルガ、今デスラ国民ガ既二委縮シテ居ル所ニ此ノ威力ノアル爆弾ガ次々ト投下サレテハ、如何ニ当局者ガ立派ナ口ヲ聞イテ見タ所デ、民心ノ恐怖心カラ戦争ニ対スル厭戦気分ハ自然濃厚トナリ、人間ノ力デハ及ビモツカヌ問題ガ起キテ来ル虞レガアル。

当局者ハ何ヲ置イテモ広島ニ於ケル爆弾ノ性能ヲ早急ニ研究シテ之ガ対策ヲ講ジ、今後ニ於ケル被害ヲ最小限度ニ喰イ止ムベキ方策ヲ立テテ貰ヒ度イ。

戦時金融金庫総裁 大野龍太

六日ノ広島市ニ加へラレタ敵ノ攻撃ハ少数機カラ而カモ少数ノ投下弾デアツタニ拘ラズ其ノ被害ハ相当ナモノデ、敵ハ新型爆弾ヲ使用シタラシイトノ事タガ、此ノ点ニ付テハ我々ノ聞ク処モ今朝新聞発表ニアル程度ノ範囲ヲ出デテ居ラヌ。敵ガ果シテ今后引続キ新型爆弾ヲ使用シテ来ルガ、又之ニ対シテ軍ニ如何ナル本土防衛ノ備ヘガアルカ、之等ノ点ニ就テハ今日直チニ我々ガ窺知出来ヌ事柄ナノデアルカラ、今更敵ガ新型爆弾ヲ使用シ出シタカラト云ツテ我々ガ騒ギ出ス筋合デモ無イ。只茲ノ処ハ軍ヲ信頼シテ新ラシイ試練ニジツト耐ヘテ行クコトガ戦争ヲ有利ニ導ク道デアルコトヲ知ラネバナラヌ。然シ乍ラ当局トシテモ早急ニ事態ノ真実ヲ調査シテ、今後ノ防空指導二遺憾ナキヲ期シテ貰ヒ度イモノダ。

昭和石油社長 長崎英造

本年ニ入り第二四半期カラ敵ノ一方的戦争時代ニ入リ、国内的ニモ端境期ニアル食糧事情ノ逼迫カラ日本ハ極メテ深刻ナ試練ニ立ツダラウコトハ、サイパン失陥当時カラ私ノ機会アル毎ニ指摘シテ来タ処ダガ、壁二頭ヲ打チツケヌ限り活眼ノ開ケヌ役人ニハ困ツタモノト思ツテ居ル。

此ノ際ニ当ツテ敵ハ又新タナ攻撃方法ヲ採用シテ其ノ第一投ヲ広島市ニ加へ来タツタガ、今更斯ンナ事位デヘコタレルノダツタラ始カラ戦争シナイ方ガマシダ。

軍トシテモ云フ所ノ神機ニ備ヘテ充分確信ガアルト思フガ、我々モ此ノ際軍ヲ信頼シテ居ル。只軍ガ予想シテ居ル一方的戦争時代ノ期間ト自分等ノ予想トノ間ニハ可成リノ開キガアル様ダ。我々ハ此ノー方的戦争時代ハ可成長期ノ間続クモノト思ツテ居ルカ、此ノ辺ノ判断ヲ誤ルト国内崩壊ノ危機ニ当面スベキ機会ニ見舞ハレヌトハ限ラヌカラ、此ノ点ニ付テ今ニシテ軍ノハツキリシタ見透ノ確立ヲ望ム次第ダ。

言報専務理事 斎藤忠

敵少数機ノ広島市爆撃ハ従来ニ其ノ例ヲ見ザル程ノ強烈サデ、恐ラク原子爆弾ニ類似ノモノデアラウト想像サレル。今後敵側ガ斯カル爆撃方法ヲ反復スルヤ否ヤ目下ノ処予想ガツカヌガ、恐ラク敵ガ斯ル新タナル構想二依ル爆撃ヲ為シタ所以ハ此ノ種新型爆弾ノ大量生産成リタル結果ニヨルモナルカ、或ハ極ク少数ノ生産ニ不拘昨今焦燥気味ノ敵側ガ一挙ニ戦局ヲ終息セシメントノ意図ト我ガ方ノ厭戦気分ヲ煽リ立テル為メノ所謂牽制的爆撃ノ様ニモ考ヘラレル

若シ前者ノ如キ理由トセバ、今后相当ニ此ノ種爆撃ガ繰リ返へサルルデアラウコトヲ覚悟セネバナラヌシ、例へ後者ノ場合ニシテモ早急ニ之ガ対応策ヲ実行ニ移スニ非ザレバ実際ニ犠牲ノ増加ハ勿論、延イテハ国民ニ及ボス思想的ノ影響モ憂慮スベキ事態トナルハ天ヲ見ルヨリ瞭カデアル。

然シテ之ガ対策トシテハ、従来ノ如キ国民任セノ防空防火対策デハ到底至難デ、此ノ際政府ハ思イ切ツタ措置トシテ、現在軍事的築城其ノ他ニ利用シツツアル軍隊ハ勿論、其ノ他工兵隊及全国ノ土木業者ヲ打ッテ一丸トシタル土木軍ヲ急遽編成、以テ早急ニ民衆築城ノ徹底化ヲ図ルベキデアル。

然シテ老幼妊産婦其ノ他要疎開音ハ、此ノ際当局ノカヲ以テ強制的ニ集団疎開ヲ実施シ、都内要残留者ハ之総ベテ前記ノ民衆築城ニヨリ地下壕生活ニ移行セシムベキデ、之ガ急速ニ実行サルルニ非ザレバ、到底此ノ種爆撃ニ耐へ戦ヒ抜クト云フ気概ヲ持続セシムルコトハ至難デハアルマイカ。

某新聞記者

広島ニ対シテ加へラレタ敵ノ新型爆弾ハ何ト云ツテモ兵器ノ本質的革命ヲ物語ルモノト謂フベキデアル。而シテ我方ニ於テモ急速ニ対策ヲ樹立シ、広島二加ヘラレタ攻撃ノ実相ヲ具体的二国民ニ周知セシメ、以テ一億ノ戦意ヲ強靱ナラシムルガ如キ具体的措置ヲ構ズルノ要ガアル。唯徒ラニ当局ガ周章狼狽シ、被害ノ様相ヤ枝葉末節ノ流言等ヲ神経過敏ニ弾圧スルコトヲ以テ民意ノ沈滞ヲ喰イ止メントスルハ、当ヲ得タ策トハ謂ヒ難イ。

国民モ亦、敵ガ広島ヲ攻撃シタカラ直チニ本土全域ニ対シテ斯種ノ新型爆弾ヲ以テ攻撃スルナラムト憶断スルニハ当ルマイ。

由来決戦兵器ハ乾坤一擲ニ際シテ相当多数ヲ使用スル性質ノモノナルニモ拘ラズ、僅カニ広島ニ於テ少数ヲ試シタルニ過ギヌ程度ヨリ見テ、多分ニ謀略的政治的意味ヲ含ムモノト認メラレ、未ダ多量使用ノ域ニ達シテ居ナイノデハアルマイカ。

要スルニ決定的決戦兵器トシテハ尚不安定ナル状態ニアルモノト思ハレル。而シナガラ戦争ノ前途ノ斯ル革命的兵器ノ出現ニ依ツテ一層凄惨苛烈化スルコトハ必然的デアリ、国民ハ不退転ノ決意ヲ以テ難局突破ヲ覚悟シ、当局ハ国民ヲシテ斯ル方向ニ向ハシムルガ如キ万全ノ措置ヲ構ズベキハ、言ヲ俟タナイ処ナリト思フ。

広島警備担任船舶司令官布告文(1945年8月7日)

広島警備担任船舶司令官布告文

1945年8月7日

広島市民ニ告グ

米機ハ遂ニ人道上許スヘカラサル特殊爆弾ヲ以テ我カ広島ヲ侵セリ痛憤真ニ極リナシ

予ハ広島警備担任司令官ヲ命セラレ死力ヲ竭シ戦災復旧ヲ完遂セントス

親愛ナル広島市民ヨ 予ト一体トナリ断乎米鬼撃滅ノ闘魂ヲ振起シ戦災復旧ヘノ協力ニ邁進セラレンコトヲ望ム

昭和二十年八月七日

広島警備担任司令官 船舶司令官

注意

一、警報ト共ニ必ズ防空壕ニ待避シ服装ハ常ニ皮膚ヲ露出シナイコト 万一火傷シタ場合ハ取敢ヘズ海水ヲ二分ノ一ニ薄メテ浴ビルコト カクスレバ此ノ種ノ攻撃モ十分ニ防護スルコトガ出来マス

二、負傷者ハ次ノ場所ニ収容中

東練兵場 比治山西側聖橋 御幸橋東三叉小路 工兵連隊 泉邸 東警察署 住吉橋 横川駅 土橋 舟入本町 己斐駅 廿日市 似島宇品船舶練習部 暁六一六七部隊 赤十字病院 坂金輪暁部隊 暁六一八○部隊

軍ニ於テ収容シタ死傷者ハ目下調査中二ツキ逐次発表シマス

三、糧食水薬品被服等ニオ困リノ方ハ最寄ノ地区警備司令部ニ相談シテ下サイ

地区警備司令部ハ次ノ場所ニアリマス

宇品地区警備司令部 宇品船舶司令部内

東地区警備司令部 丹那橋東側

中〃 紙屋町芸備銀行

西〃 住吉橋西側

四、電車線路及ビ大キナ道路ハ目下通行出来マス

広島警備担任船舶司令官「広島警備命令」(1945年8月7日)

広島警備担任船舶司令官「広島警備命令」

1945年8月7日

広警船作命第一号 八月七日一四、○○

広島警備命令

一、予ハ自今広島警備ノ担任ヲ命ゼラレ在広諸部隊並ニ逐次広島付近ニ到着スル陸軍部隊ヲ併セ指揮シ速ニ戦災復旧ヲ処理セントス戦災処理ノ為警備ニ関シ中国地方総監広島県知事及広島市長ヲ区処セシメラル

海軍増援部隊指揮官ハ戦災復旧ニ関シ予ヲ援助シ広島駅(含ム)ヨリ十日市土橋ヲ経テ己斐駅(含ム)ニ至ル乗車線以北地域ニ於ケル救護給与ヲ援助シ且ツ広島駅付近復旧ニ任ス

二、東地区警備隊長(暁沢田部隊長)

中地区警備隊長(暁芳村部隊長)

西地区〃(暁梶部隊長)

ハ船防作命第一八号ニ拠リ別紙区分ニ基キ広島市ノ警備一任スへシ

海軍増援部隊指揮官担任地域ト重複スル地域ニ於ケル警備ハ広島駅付近ヲ除ク外陸軍主担任トシ細部ハ相互協定スルモノトス

三、中国憲兵隊司令官ハ現任務ヲ続行スヘシ

四、中国地区鉄道司令官ハ広島付近山陽線ノ復旧ニ任スルト共ニ一部ヲ以テ先ヅ速ニ宇品線ノ復旧並ニ運行ヲ処理スヘシ

五、中国軍管区派遣部隊ハ中地区警備隊長ノ指揮ヲ承クヘシ

六、中国地方総監広島県知事広島市長ハ警察及警防団等ヲシテ警備ニ関シ各東地区中地区西地区警備隊長ノ指揮ヲ承ケシムヘシ

七、細部ニ関シテハ参謀長ヲシテ指示セシム

八、予ハ宇品ニ在リ 明八日八時ヨリ広島市役所ニ在リ

広島警備担任船舶司令官 佐伯文郎

 

広警船作命第一号二基ク参謀長指示

一、広島市戦災復旧ハ軍官民一体トナリ迅速ニ処理ヲ完了シ第一次ハ八月九日迄ニ救護及屍体収容ヲ完了スルモノトス

二、作業ハ先ヅ速ニ負傷者ノ救護ニ任スルヲ主トス 救護所及設置担任区分左ノ如シ

1比治山西側聖橋 東地区警備隊長

2御幸橋東側三叉路〃

3住吉橋 東地区警備隊長

4観音町中央十字路・市立商業北側付近 陸軍燃料廠救護班

5東練兵場、6土橋、7横川駅、8己斐駅 海軍増援部隊

9東警察署、10市役所、11泉邸跡 広島県

三、救護ハ昼夜連続実施スルヲ本則トシ特二払暁黎明時機ヲ活用シ八月九日中ニ終了スルモノトス

四、屍体ノ処理ハ丁重且迅速ニ実施スルヲ主旨トス

各警備隊官庁ハ所在ノ地ニ於テ火葬又ハ土葬シ為シ得ル限リ神官僧侶ヲ列席セシムルニ勉メ人名止ムヲ得サルモ柱数ヲ確実ニ調査シ逐次広島警備担任船舶司令官ニ報告スルト共ニ広島市長ニ通報スルモノトス

広島刑務所長ハ左記地点ニ各囚人約百名ヲ派遣シ屍体処理ニ任セシムルモ各警備隊官庁ニ於テハ迅速処理ニ遺憾ナカラシムルモノトス

1山陽中学北側

2市役所

3紙屋町八丁堀付近

4土橋

五、警報伝達ハ民心安定ノ第一要件ナルヲ以テ各警備隊ハ警備地区内ノ警報伝達ニ関シ遅クモ明八日十二時迄ニ施設ヲ完備スルモノトス 広島県広島市ハ警報伝達ニ関シ強カニ援助スルモノトス(鐘太鼓等用意ノコト)

六、流言ノ取締ノ為新型爆弾ニ対シ防空壕ノ価値大ナルコトヲ推奨シ「何トカ手ハアル」ノ信念ヲ確保セシムルモノトス

七、広島県広島市ハ天幕及菰等ヲ明八日十二時迄ニ収容シ各救護所ニ配布スルモノトス

八、広島市長ハ速カニ水道ノ復旧ヲ実施シ尚電灯ノ復旧並主要幹線ノ「バス」ノ運行ヲ促進セシムルモノトス 又罹災民ノ情況ヲ判明セシムルタメ各町内会ニ罹災民相談所ヲ設クルモノトス

九、各警備隊長ハ主要交通路ノ啓開及交通整理並ニ倉庫ノ盗難防止ニ関シ特ニ所要ノ処置ヲ実施スルモノトス

昭和二十年八月六日

船舶参謀長 馬場英夫

一、輸送困難ニツキ自今「戦災処理員」ノ腕章ヲ右腕ニ付ケタルモノハ陸軍部隊等ノトラックニ便乗スルコトヲ得

一、警報伝達用鐘代用ノ石油カン一○○箇及燈油若干ヲ広島市役所ニ配布ス

一、炊出シハ警備隊ニ於テ適正ニ行フコト

一、明九日ノ連絡会議ハ十七時ニ比治山神社ニ於テ実施ス

一、警防団ノ配置及活動ニツキ明八日午前八時広島市役所ニ於テ県警察部係員ト連絡協議ヲナス

広島県知事論告(1945年8月7日)

広島県知事論告

1945年8月7日

今次ノ災害ハ惨悪極マル空襲ニヨリ我国民戦意ノ破砕ヲ図ラントスル敵ノ謀略ニ基クモノナリ

広島県民諸君ヨ

被害ハ大ナリト雖モ之戦争ノ常ナリ

断ジテ怯ムコトナク救護復旧ノ措置ハ既ニ着々ト講ゼラレツツアリ

軍モ亦絶大ノ援助ヲ提供セラレツツアリ

速ニ各職場ニ復帰セヨ

戦争ハ一日モ休止スルコトナシ

一般県民諸君モ亦暖カキ戦友愛ヲ以テ罹災者諸君ヲ労リ之ヲ鼓舞激励シ其遠カナル戦列復帰ヲ図ラレ度

本次災害ニ際シ不幸ニシテ相当数ノ戦災死者ヲ出セリ

衷心ヨリ哀悼ノ意ヲ表シ其ノ冥福ヲ祈ルト共ニ其ノ仇敵ニ酬ユル道ハ断乎驕敵ヲ撃砕スルニアルヲ銘記セヨ

我等ハアクマデモ最後ノ戦勝ヲ信ジ凡ユル艱苦ヲ克服シテ大皇戦ニ挺身セン

昭和二十年八月七日

広島県知事 高野源進

 

米穀配給台帳による広島市の原爆被爆前人口

 1945年6月30日

地域

米穀配給人員
牛田 7019
尾長 8034
矢賀 1887
青崎 6187
荒神 5508
段原 10342
比治山 10440
仁保 4074
楠那 2178
大河 4793
皆実 10187
宇品 12110
似島 1765
白島 7104
幟町 8082
竹屋 12353
千田 9165
袋町 6036
大手 6076
中島 9196
広瀬 4980
本川 5237
神崎 9637
舟入 5983
江波 6000
大芝 10057
三篠 12393
天満 7389
観音 18429
福島 4065
己斐 7780
古田 3830
草津 7107
合計 245423