「核意識構造の実態研究」グループ(代表:庄野直美)
「はじめに」(『核と平和 日本人の意識』(庄野直美他編、法律文化社、19781201 )抜粋
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研究が企画された契機は, 1975年8月の「広島大学平和科学研究センター」の発足にあった。この研究センターの研究プロジェクトの一つとして,「核識構造の実態研究」グループ(代表:庄野直美)が組織され, 1976年と77年には文部省科学研究費(総合A)補助金の交付をうけた。
この研究費により, 1976年度には,戦後30年間に新聞社等が行なってきた世論謌査のうち,核問題にかかわるすべての資料を収集し,その内容を分析した.収集された資料は, 190種の世論調査において約1,400の調査項目に及び,それらは(1)原爆被災 (2)核実験・核兵器・核政策(3)原水禁運動,(4)原子力発電,(5)戦争観・安全保障,(6)憲法第9条・自衛隊,という6大頂目に分類され,分析された。
しかし,これらの世論調査だけでは核意識構造の分析には不十分で,私たちが知りたいと望む情報を更に得るために, 1977年2月および7,8月には,広島・長崎・岡山・金沢の4都市において,中学2年生もしくは3年生,(回収実数5,039名)とその父母(回収実数4,699名)に対し,また同年11月には広島・長崎・岡山の高校2年生(回収実数1,816名)に対し,私たち研究グループ
独自の調査を実施した。この独自調査の分析結果が,本書の主要な内容である。
私たちの研究プロジェクトに参加した研究者は,全国]3大学の27名であり,専攻分野も十数領域に及んだOその氏名と所属(当時)は下記のとおりである。(○印は本書の執筆者,50音順)
伊東 壮:山梨大学(経済学)
今堀誠二:広島大学(アジア史)
岩佐幹三:金沢大学(政治学史)
〇上野裕久:岡山大学(憲法)
宇吹 暁:広島大学(歴史学)
〇大槻和夫:広島大学(教育学)
岡本三夫:四国学院大学(哲学・平和研究)
小川岩雄:立教大学(原子物理学)
鎌田定夫:長崎造船大学(人文・欧米文学)
○北西 允:広島大学(政治学)
栗原 登:広島大学(疫学・社会医学)
○小寺初世子:広島女子大学(国際公法)
○庄野直美:広島女学院大学(原子物理学・平和研究)
高畠通敏:立教大学(政治学)
田中靖政:学習院大学(社会心理学)
○永井秀明:広島大学(理論物理学・平和研究)
○初瀬龍平:北九州大学(政治学)
濱谷正晴:一橋大学(社会学)
深井一郎:金沢大学(日本語学)
藤井敏彦:広島大学(教育学)
○松尾雅嗣:広島大学(平和研究)
松元 寛:広島大学(英米文学)
安田三郎:広島大学(社会学)
山川雄己:関西大学(政治学)
山田 浩:広島大学(国際政治)
湯崎 稔:広島大学(社会学)
横山 英:広島大学(中国近代史)
本書の作成にあたっては,上記名簿(○印)の8名が,研究グループの討論をふまえた上で各自に執筆し,それを3名の編者が最終的に整理・加筆した。
本書は,核問題を中心とした,平和に関する日本人の意識構造を明らかにする,日本ではじめての総合報告書であると思う。平和と核問題に関心ある人びとの研究,教育,思索の一助になることを願うとともに,私たちの調査研究に寄せられた関係諸方面の援助・協力に対し,心からの謝意を表するものである。
1978年8月6日
編者