8月6日の「原爆の日」の指導について(広島県通知)

8月6日の「原爆の日」の指導について(広島県通知)
1969年7月14日
広教委指第311号
昭和44年7月14日
各教育事務所長殿
各県立学校長殿
各市町村教育委員会教育長殿
各私立小・中・高等学校長殿
広島県教育委員会教育長
(指導課)
広 島 県 総 務 部 長
(総務課)
8月6日の「原爆の日」の指導について
(通知)
8月6日の「原爆の日」を中心として、広島市では原爆についてのいろいろな行事がいとなまれることになっております。
ところが、この日は夏季休業中の関係もあって、児童・生徒のこれらの行事に対する関心は、テレビ・ラジオ・新聞等を通じて知る程度であり、「原爆の日」についての関心も年を経るにつれて漸次薄れてきている現状であります。
原爆の被害をうけた広島市をもつ広島県の県民としては、この際、「原爆の日」についての認識を新たにし、平和への関心を深めることは、教育的にも意義あることと考えます。
すでに、広島市の学校においては、従前からこのことの計画的な指導に取り組んできておられますが、県下の各学校においても下記事項にご留意のうえ、適切な指導が行なわれるようご配意願います。

1.基本的態度
昭和20年8月6日は、広島市に人類最初の原子爆弾が投下された日であり、これを契機に全人類が平和への悲願に立ちあがった歴史的な記念すべき日である。
県下の各学校においては、この8月6日の「原爆の日」について、地域の実情や学校の実態に即して計画的に取り上げて指導することが望ましい。
なお、平素の教育活動においても、平和への理解や関心を深め、戦争のもたらす人類の不幸について深く考えさせるとともに、平和を希求する態度を育成するように努めることがたいせつである。
2.指導の観点
「原爆の日」の意義を理解させるとともに、いっそう平和を願う心情や態度を育てる。
3.指導の内容
地域、学年等によりちがいがあろうが、主題的な扱いにおいては、たとえば、次のようなものが考えられる。
・「原爆の日」について
「原爆の日」の意義
原爆死没者慰霊式・祈念式について
・原爆をうけた人びと
原爆の被害、被爆者の現状
原爆病院
・平和への願い
原爆慰霊碑 原爆の子の像 原爆ドーム
4.指導の機会と場
・適当な機会をとらえて、「原爆の日」について指導する。
・社会科などの教科の指導内容と関連づけて指導したり、ホーム・ルーム、学校行事等で、「原爆の日」に関連した主題を設けて指導したりする。
5.取り扱い上の留意事項
(1)校長以下全職員が、この指導についての研究の機会をもち、共通理解を図るとともに、児童・生徒の実態に即した指導の詩画を立てること。
(2)地域に関係の深い事例を取り上げるなど、できるだけ具体的に取り扱うこと。
(3)児童・生徒の発達段階に応じて、内容程度・取り扱い等を考慮すること。
(4)現実の具体的な国内問題や国際問題などと関連づけて取り扱う場合には、いろいろな立場や考え方があることを理解させ、広い視野にたって平和のあり方について考えさせるようにすること。
(5)特定の立場や考え方に偏した取り扱いにならないように留意すること。
備考 なお、参考までに、広島市教育委員全編集(昭和43年)の資料を添えます。
◎参考資料(広島市教育委員会編集)「原爆記念日」