平和記念式典後の総理記者会見19970806

広島平和祈念式典における橋本内閣総理大臣記者会見
平成9年8月6日
【質問】 まず、被爆者団体からの要望についてお伺いします。国が広島市に建設する原爆死没者追悼平和記念館をめぐって、地元被爆者からは建設理念を明確にせよとの声が挙がっています。これまでの要望を聞く会でもこの問題が取り上げられましたが、誠意ある回答がないとして、今年は3団体が出席をとりやめました。このことについての見解をお願いします。

【橋本総理】 原爆死没者追悼平和記念館開設準備検討会、この中間報告ではもう既に皆さんも御承知のように、その設置の理念については日本国憲法の前文並びに被爆者援護法の前文及び第41条の精神にのっとり設置するとされておりますし、具体的な内容については現在厚生省の準備検討会で、地元や被爆者団体の皆さんの意見を伺いながら準備を進めている最中です。

これは、我々として更にその設置の理念の問題も含めて、広く国民の共感の得られるような施設としたいと、そういう思いで皆さんからの御要望を踏まえながら検討をしてきましたし、これからもしていくつもりです。今回、一部の方々が出席をしていただけないということは私は大変残念ですけれども、私どもとしては被爆者団体を始めとして、地元の方々から実情あるいは御要望を聞くというのは大事なことだと思っておりますし、そういう機会は大変貴重なものですから、広く御意見を伺いたいという姿勢は、参加をしていただけない方々があった、それは残念だけれども、その姿勢を変えるつもりはありません。これからも耳を傾けていきたいと、そう思っています。

【質問】 次に、広島における原爆関連施設についてお伺いします。日米共同出資で運営している放射線影響研究所の移転問題が持ち上がっています。広島市は、新しい研究所を建設して放影研側に賃貸する方法を提案していますが、政府としての今後の見通しをお願いします。また、被爆者の高齢化が進む中、広島県・広島市が新たな原爆養護ホームの建設を検討した場合、国として補助の考えがあるか、お願いします。

【橋本総理】 放影研の移転費用の圧縮のために、新たな研究施設を放射線影響研究所に賃貸するという方式を考えていただいていることも知っていますが、この移転問題というのは実現に向けてこれまでも積極的に米国政府と協議を続けてきましたし、今後とも引き続き移転の実現に向けて努力をしていきたいと、そう考えていることに変わりはありません。

また、原爆特別養護ホームあるいは原爆養護ホームといった被爆者を対象とする施設、これは地域の実情に即して考えられていくべきものですから、これから県や市とまたお話をする機会がありますけれども、その県や市の御意向を伺いながら、具体的にその御要望が出てくれば、国としてどういうお手伝いが出来るか、検討していきたいと思っています。

【質問】 アメリカの臨界前核実験についてお伺いします。今月中にも臨界前核実験の実施を明らかにしているアメリカに対し、地元からは政府の毅然たる態度を求める声が挙がっています。本日の平和宣言で、平岡広島市長は核の傘という言葉を使い、アメリカの核兵器に頼らない安全保障体制構築への努力を求めました。政府としての今後の対応をお願いします。

【橋本総理】 私は、被爆地広島の市長として、市長さんが核の傘という言葉を使われたお気持ちを理解出来ないと申し上げるつもりはありません。これは恐らく広島だけではなく、長崎でも同じような思いの方がおられるだろうと思います。そして、そういうお気持ちがあることを理解をしますけれども、同時にアジア・太平洋地域というものを振り返っていただくとき、いろいろ不安定な要素がある。そういう状況の中で、日米安全保障条約というものによって支えられている安全保障の仕組みというものが、私はこの国にとって必要なことだと考えています。

そういう中で、確かに市長さんの平和宣言の中に込められた思いというものは理解をしながら、逆に日米安全保障条約というもの、それを基盤とした日米関係というもの、そして同時にこの日米安保体制というものの中で、米軍のプレゼンスがアジア・太平洋地域に確保されていくということが、この地域の安定の上で大きな役割を果たしているということも是非御理解をいただきたいなと、そんな思いも持っています。

同時に、正確には未臨界構成の爆薬実験ですか、これは申し上げるまでもなく包括的核実験禁止条約において禁止されていないというのが国際的な認識だと思います。そして、我々は今CTBTそのものの発効のために努力をしています。そのCTBTの発効、発効前ということにかかわりなく、この条約で禁止されていない行動というものに対して抗議をするといった考え方は持っていません。

むしろ我々としては、一日も早くこれが発効するように努力をしていくということが、我々にとって大事なことではないかと、それは本当にそう思います。

【質問】 3点御質問させていただきます。橋本総理の自民党総裁再選が確実視されていますけれども、党役員人事と、それから閣僚の改造人事の時期及び規模について御見解を伺いたいと思います。

【橋本総理】

【質問】 では、2点目なんですが、北朝鮮との審議官級の会議の開催が難航するという見方が一部報道では出ていますけれども、それについての見通しと、それから北朝鮮の食糧事情あるいは政治状況などについて総理の御見解あるいは認識を伺いたいと思っております。

【橋本総理】

【質問】 3点目ですが、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインなんですが、この見直しに絡んで、いわゆる日本周辺事態、日本周辺有事の範囲についてどう考えるかという論議が一部で盛り上がっていますけれども、それについて総理の御見解をお話いただきたいと思います。

【橋本総理】