戦後社会運動史論2 高度成長期を中心に

『戦後社会運動史論2 高度成長期を中心に』(広川禎秀、山田敬男編、広川禎秀、山田敬男編、大月書店、20120312)

内容

I 高度成長期の社会運動史の中心課題
1 高度成長期の社会運動史の方法と課題 広川禎秀…3
はじめに 12
一 戦後社会運動史の視点・方法 16
1.戦後社会運動史の前進―2つの研究について 16
2.戦後史の時期区分論の論点をめぐって 22
3.「生存」と「生存権」の視点について 24
4.社会の民主主義的熟成の把握の視点
―上原専祿の歴史認識の方法を中心に 28
5.部落問題研究と地域の民主主義的熟成の問題 34
二 高度成長期の社会運動史の具体的研究運動課題 37
1.安保・沖縄問題と社会運動 38
2.高度成長期の労働運動 39
3.革新自治体と地域変革の問題 42
4.社会運動の長期的「持久戦」への転換の問題 45
おわりに 47
2 60年安保闘争史研究の意義と課題―研究史を中心に 上野輝将…51
はじめに 51
一 「同時代史」としての安保闘争 53
1.主要文献 53
2.体験と記録 54
3.中央と地方(地域)、そして沖縄 55
4.安保体制と安保闘争 58
二 「歴史化」された安保闘争 61
1.主要文献 61
2.「同時代史」への批判 62
3.安保体制と安保闘争 65
4.安保闘争と沖縄の復帰運動 68
5.「地域」としての安保闘争 71
三 「歴史」としての安保闘争 73
1.主要文献 74
2.安保体制と安保闘争、そして沖縄問題 74
3.新しい研究動向 77
むすびにかえて 84
3 高度成長期の労働組合運動の社会的意味 山田敬男…87
はじめに―運動分析の視点 87
一 右翼的潮流の台頭とその矛盾 89
1.鉄鋼労連の変質 89
2.右翼的潮流の新しい段階 91
3.第1次労働戦線の右翼的再編の運動とその挫折 93
二 労働組合運動の新しい展開 95
1.医療の場合 96
2.自治体の場合 98
3.教育の場合 100
4.国労の場合 103
三 国民春闘の社会的意味 105
1.国民春闘の可能性 105
2.国民春闘への発展 107
四 国民春闘の変質とスト権ストの挫折 109
1.国民春闘の変質 109
2. スト権ストの挫折 111
3.国労の「民主的規制」方針の挫折 113
おわりに 114
4 「革新自治体」論の課題について 大森実…18
はじめに 118
一 革新自治体の定義から―「革新自治体の時代」論 120
二 運動における繋がり、または連続面のこと 125
三 地域構造に即して「住民自治」の諸相を考察する 132
II 高度成長期における社会運動の展開
1 1960年代前半における地域共闘の展開
―和泉市山手中「学テ闘争」を中心に 森下徹…142
はじめに―問題意識と課題 142
一 学テ闘争の背景 144
1.八坂町の社会構造と山手中学校 145
2.和泉市への合併と中学校問題 150
3.和泉における勤評闘争・安保闘争 153
二 学テ闘争と地域共闘の展開 158
三 あたらしい地域社会建設の模索 166
おわりに 170
2 石川・宮森小ジェット機墜落事故に対する賠償問題の展開
―戦後沖縄における人権擁護運動の転機として 櫻澤誠…175
はじめに 175
一 事件直後 178
1.米軍 178
2.琉球政府、石川市 179
3.立法院 180
4.民間団体・メディア 181
5.本土側の反応 182
二 長期化する補償問題 184
1.補償問題の初動 184
2.被災者の不満増大と組織化 185
3.硬化する米軍と消極的な行政 187
三 補償問題の転換 189
1.新たな運動と強まる圧力 189
2.支援体制の強化 191
3.米軍の攻勢と新運動方針 193
四 解決過程 196
1.琉米協調による「解決」 196
2.アイク請願デモ 198
3.デモ後の圧力 200
4.本土への訴えと最終的解決 202
おわりに 204
3 空襲・戦災を記録する運動のはじまりに在ったもの
―横浜の空襲を記録する会の初期の活動から 福島在行…209
はじめに 209
1.空襲・戦災を記録する運動と近年の研究 209
2.問題関心と検討対象 211
一 横浜の空襲を記録する会の組織と初期活動 212
1.結成と初期活動の概略 212
2.横浜の会組織的特徴 214
二 記録するということ 215
三 空襲展という場から見えるもの 219
1.「横浜の空襲展」と「戦争と横浜市民」展 219
2.モノ・展示による「追体験」 221
3.空襲展から見える認識①出発点としての横浜空襲 223
4.空襲展から見える認識②「みな殺し戦争」の時代 226
5.空襲展と〈すれ違い〉 228
おわりに 230
4 1960年代の保育問題研究活動 石月静恵…239
はじめに 239
一 関西保育問題研究会の設立と活動 241
1.大阪における保育所づくり 241
2.関西保育問題研究会の設立 242
3.関西保問研の活動 244
二 全国保育問題研究集会の開催と継続 251
1.地域保問研の連携 251
2.「第1回全国保育問題研究集会」の開催 252
3.全国研究集会の継続 254
三 保育問題研究の理論家と役割 256
1.乳児保育の理論化 256
2.保育者の要求と組織化 259
むすびにかえて 262
5 大阪府夜学生演劇集団(府夜演)小史
―高度成長期学生文化運動の一断面 三輪泰史…267
はじめに 267
一 大阪府夜学生演劇集団の結成 269
1.結成の前提と背景 269
2.結成を主導した人たち 272
二 「昼働き、夜学ぶ勤労学生」の生活に根ざした演劇 277
1.府夜演に結集した人たち―はじめて知る世界 277
2.争議中の工場における長期合宿の体験 281
三 府夜演の拡大から衰退へ 284
1.内部の葛藤と構成員の多様化 284
2.その後の府夜演―再定義・再建の働き 289
おわりに 294
あとがき 301