原民喜詩碑

原民喜詩碑 除幕:1967年7月29日 場所:広島市大手町1丁目碑設計 谷口吉郎

1951年7月13日、広島城跡に建設されたが、毀損のため、現在地に再建。

HIC019A
碑銘正面
原民喜
遠き日の石に刻み
砂に影おち
崩れ墜つ 天地のまなか
一輪の花の幻
裏面
原民喜詩碑の記
原民喜は人がら清純沈鬱に流俗と遇ひ難い詩人であった。一九五一年三月一二日夜、東京都西郊の鉄路に枕して濁世を去った。蓋しその生の孤独と敗戦の國の塵勞とは彼の如き霊の能く忍ぶところでは無かった。遺書十七通、先づ年来の友情を喜びさてさりげ無く永別を告げんと記し、うち二通の文尾に書き添へた短詩「碑銘」は思を最後の一瞬に馳せて亡妻への故郷壊滅の日を記した力作「夏の花」に寄する矜持と又啼泣とを「一輪の花の幻」の一句に秘めて四十六年の短生涯を自ら慰め弔ふもの、辞は簡に沈痛の情は深い。遺友等ために相謀り地を故郷に相し銘記せしめて之を永く天地の間に留めた。
一九五一年七月十三日夜
遺友中の老人 佐藤春夫記す
撮影日:2017年8月6日09:36  撮影者:宇吹
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