原爆障害者生活援護費給付の手びき(1958年)

原爆障害者生活援護費給付の手びき

財団法人 広島原爆障害対策協議会

一.制定の趣旨

原爆障害者の治療に関しては、昭和二十八年以来財団法人広島原爆障害対策協議会(以下「原対協」という)に於て医療費の殆んど全額に亘る給付を行っているのであるが、昭和三十二年四月原爆医療法の制定に伴い、原爆症に関する検査及び医療費の全額国庫負担の実見を見るに至り、一応治療費に関して万全の措置が講ぜられたが、一方原爆障害者に対する生活援護は遂に取りあげられることなく今日に至った。原爆障害者の治療は長期に亘るため、これが治療の促進は単に医療の給付のみでは解決することは困難であり、特に入院を必要とする障害者の治療に影響を及ぼすこと多大であるため治療意欲の減退を来し、ひいては治療活動を阻害する結果となっている。

ここに於て原対協は昭和三十二年度予算に治療推進費を計上し、その一項目として生活援護を行い、安心して治療に専念し、生活再建の途を開かしめると共に治療の円滑化を期することとした。

二、生活援護費の給付をうけられる人

1.原爆障害者であって、現に原爆症の治療をうけている人であること
2.、低額所得者であって、援護の必要がある人
例えば
イ、本人が家計の主なものであって、入院治療のため収入が得られなくなる場合(規定第三条第一号参照)
ロ、家族であるが収入の一部を生計に当てていて入院治療のため収入が得られなくなる場合(規定第三条第二号参照)
ハ、その他の事情により入院治療をうけるため生計の資料が得られなくなる場合
などですが、お困りの方は一度御相談下さい。

三、給付の内容

1.給付期間 右の給付のある期間
2.給付額 毎月一定額を右の期間に給付する。(規定第三条参照)

四、手続

所定の申請書を左記場所え提出する。(用紙も備え付けてあります)

五、決定

審査の上決定通知されます。

申込場所

一、財団法人 広島原爆障害対策協議会

広島市千田町一丁目広島原爆病院内(電話(4)三一一一)

又は
一、広島市厚生局原爆被害対策課

広島市国泰寺町三九北庁舎内(電話(4)〇一〇一、(4)一一一二)

原爆障害者生活援護費給付規程

第一条 財団法人広島原爆障害対策協議会(以下「原対協」という)の行う生活援護費の給付業務は、この規程の定めるところによる。
第二条 生活援護費の給付は、原爆被爆者にして低額所得のため原爆医療を受けることにより生活を脅かされるおそれのある者に支給するものとする。
第三条 前条の給付は、次の要領によって行う。
一、主として生計を維持しているものが医療をうけることにより収入が得られない場合
一ケ月六、○○○円以内
一、右以外の者が医療うけることにより援護の必要あると認られる場合
一ケ月二、○○○円以内一
第四条 生活援護費の給付を受けようとする者は、生活援護費給付申請書(別紙様式)を原対協会長に提出し、審査を受けるものとする。
付則
この規定は、昭和三十三年一月一日から実施する。但し特別の事情があるものについては、昭和三十二年四月一日にさかのぼることができる。